企業の従業員ボランティア促進のメリットとは?
制度事例やソリューションもご紹介
企業ボランティア活動になぜ取り組むのか、どのようなメリットがあるのかを様々な事例や統計結果より解説いたします。
また、国内最大級のボランティア募集サイトactivoによる企業向けボランティア募集情報提供ソリューションについてもご紹介いたします。
社員ボランティアのメリット
人材開発・キャリア形成
「社員のモチベーション向上」「キャリア意識」の向上に効果がある
ボランティア活動の社員へのポジティブな影響が注目されつつあり、多数のアンケートや報告書があります。
中でも興味深いのが、リクルートワークス研究所による調査で、コミュニティが「同じ部署の同僚」に閉じているグループはキャリア展望が0.095なのに対して、「ボランティア・NPO」に携わっているグループは0.413であり、ボランティアがキャリア展望のスコアを高めていることが調査によって明らかにされています。
「キャリア展望」とは、これからの自分のキャリアや人生を「切り開いていける」「前向きに取り組んでいける」「明るいと思う」と答えた回答をスコア化したものです。
また、2015年度「Panasonic NPOサポートプロボノプログラム」参加者への調査からのご報告によると、ボランティア活動をすることで、職業能力の向上や仕事に対して前向きになる傾向にあることが明らかにされています。
企業で実施されたNPOとの協業プログラムの参加前後の変化をみると、「自分らしいキャリアを歩んでいける自信がある」「従来の仕事のやり方にとらわれず、新たなやり方を試している」などの項目が参加前と比べ、参加後には高い数値が出ていることが明らかになっています。
社内だけで社員全員にこうした変化を起こすことはどうしても難しいため、ボランティア活動などの社会と接する機会によって、モチベーション向上・キャリア意識の向上を促進していくことが企業に求められています。
「スキル・知識・能力開発」に効果がある
モチベーション向上・キャリア意識の向上などに加え、普段の業務に具体的に活かすことができる経験を得ることができたと語るボランティア参加者も少なくありません。
経済産業省の「ボランティアを通じた共助社会の確立に係る調査研究」によると、企業ボランティアに参加したことのある従業員が、活動によって得ることができたと回答したものは、
- 「日常業務へのモチベーションが高まった」 85%
- 「既存のスキルや知識・経験を活用することができた」 73%
- 「既存のスキルや知識を伸ばすことができた」 64%
このようになっており、先程も紹介したモチベーション向上に加えて、スキルや知識、経験の活用や成長にも成果が出ていることが確認されています。
さらに、特定⾮営利活動法⼈サービスグラントによる「プロボノの現状と今後の展望」では、プロボノへの参加による仕事上の効果・影響として、
- 1位 「今の仕事に活かせる有意義な経験を得ることができた【60%】」
- 2位 「⾃分の専⾨性やスキルを磨くことができた【31%】」
- 同2位 「仕事の進め⽅、時間の使い⽅などが変わった【31%】」
などの変化を感じることができたと報告されています。
リーダーシップ開発や、ダイバーシティマネジメントなどのスコアが向上
また、リーダーシップ育成のように普段の業務では成長のチャンスが少ない能力においても、企業のボランティアプログラムでの成果が報告されています。
企業の社員が3~4ヶ月間、NPOの事業推進を支援する「NPOサポートプロジェクト」では、プロジェクト参加前後の変化を分析した結果、「アントレプレナーシップ(起業家精神)」「セルフグロース(自己成長)」「ダイバーシティマネジメント」「スタビリティ(安定性)」のスコアが向上したといいます。
また、「多様な意見の統合」や「メンバー間の信頼関係の構築」「顧客への率直な意見具申」といった能力向上も、参加前後の本人評価の上昇が統計的に有意だったことが報告されています(石山恒貴(2018)「越境的学習のメカニズム 実践共同体を往還しキャリア構築するナレッジ・ブローカーの実像」より)
ボランティア活動中は、メンバー間で意見の対立や話し合いが行われます。
このような経験を経て、多様な意見を統合することのできるリーダーとして能力開発が行われたり、新しい環境で仕事をしても信頼関係の構築がスムーズに行えるスキルが身に付くと考えられます。
福利厚生
福利厚生のトレンドとして、ニーズの多様化によるカフェテリアプランの導入企業増加や、社員のウェルビーイング(=身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること)を支援するための健康・育児・食・メンタルヘルスなどに関する補助の増加などがあります。
そんな中、ボランティア活動が福利厚生としてどのような価値をもたらすのか、ご紹介いたします。
社員の社会的側面におけるウェルビーイングを促進できる
ウェルビーイングは人事領域でも近年注目を集めている概念です。
実は、ウェルビーイングを向上(特に精神的、社会的な側面において)させるためにボランティアは大きなメリットがあることが明らかにされています。
UnitedHealth Groupの調査では、ボランティアを行う人の76%がより健康に感じた、94%がボランティアを行うことで気分が良くなったと回答したことが明らかにされています。
また、同調査にて、「ストレスの軽減、鬱病への対処や自尊心を高めるためにボランティアが役に立つ」とも報告されています。
食・育児補助などによるウェルビーイング支援だけでなく、社会参加のきっかけを企業が提供し、「社会的」にもウェルビーイングを促進することは、本当の意味での社員の幸福度向上に繋がるのではないでしょうか。
ボランティア参加を希望する会社員は増加している
ボランティアがウェルビーイングに良い影響を与えることはわかりましたが、実際にボランティアに興味のある社員はどのくらいいるのでしょうか?
内閣府の「平成28年度市民の社会貢献に関する実態調査」によると、社会の役に立ちたい人の役割は2016年の調査で65%であるのに対して、実際にボランティア活動に参加した割合はわずか26%でした。このように「興味はあるのに行動に移せていない人」の数は30年間で倍増しています。
また、特に会社員はボランティア経験率が低いことも報告されています。
「医師・弁護士等の資格職」、「自営業・家族従業者」、「主婦・主夫」、「学生」のボランティア経験率がそれぞれ22.6%、24.1%、20.2%、21.9%であるのに対して、「会社員」は12.9%、「派遣社員・契約社員・パート・アルバイト」は14.3%にとどまっています。
ボランティアに興味があるにも関わらず、会社員のボランティア参加率が低い要因として挙げられているのが、「参加する時間がない」「ボランティア活動に関する十分な情報がない」などです。
昨今の働き方改革によって長時間労働が是正されると、余暇の過ごし方を模索する社員も増加すると考えられます。
そんな中、人間の根源的な欲求とも言える「社会の役に立ちたい」という想いを企業として支援することは、福利厚生として非常に意義があるのではないでしょうか。
組織開発・従業員エンゲージメント
従業員エンゲージメント(社員の満足度)が高まる
デロイトの2011年ボランティア・インパクト調査によると、ボランティアへの参加は社員が帰属意識や企業文化を肯定的に評価することに強く関連していることが明らかにされています。
また、ボランティアに参加している人とそうでない人を比べた時に、自分が勤める企業への肯定的評価に2倍(56%対28%)もの差が出たといいます。
「うちの会社がボランティア活動への参加を支援してくれた」、「うちの会社はこういった社会課題への取り組みを本業・本業以外で行っているのか」という気持ちによって、給与などのような「衛生要因」とは異なり、「参画要因」となる重要な要素を向上させることができるのは、企業にとって大きな魅力と言えるでしょう。
会社のボランティアのプログラムによって、社員同士の交流が行われ、社内コミュニケーションの場を提供できる
incentive pointによると、
事業で関わりのないような部署の社員が、何か一つのアクティビティを共にする機会はまずないので、ボランティア活動のように壁のない活動で社員のコミュニケーションが活性化することは、とても良いことだと感じています
とボランティアプログラムの活動後にコメントしています。
また、文部科学省によると、1つのミッションを共有し、チームとして活動をすることで、横の連携が生まれ、組織の活性化にもつながることが報告されています。
さらに、東京都 企業が進める 社員のボランティア活動 に関する事例集によると、
河川敷の清掃活動後のバーベキューによって、縦(上司と部下)横(同期や部署内)を超えた「斜めのコミュニケーション」が生まれているといいます。
このように、通常業務では関わらない社員同士が1つのことに一緒に取り組む経験を提供することで、新しい社内コミュニケーションを生み出していることがわかります。
採用ブランディング
ボランティアプログラムが求職者に魅力的な企業と認識される
就職情報大手のディスコの調査によると、大学生が就職先を選ぶポイントの第1位が「社会貢献度が高い」と回答しています。
もし、企業がボランティアプログラムを用意していたとすれば、学生に「この会社で働きたい」と思ってもらいやすくなります。
また、デロイトの2011年ボランティア・インパクト調査によると、職場でのボランティアに頻繁に参加することは、社員が企業文化を肯定的に評価することにつながることが報告されています。
よって、企業がボランティア活動を中心とした社会貢献活動への本気度をアピールすることは、これから入社しようとしている人も、すでに入社している人にも魅力的な企業として認識されることにつながります。
制度事例・ソリューション
ここからは、企業による社員ボランティアを後押しする制度事例や、弊社が提供するソリューションのご紹介をいたします。
activo 企業従業員向けボランティア募集情報提供サービス
多くの企業が従業員向けにボランティアや社会貢献活動の情報提供を実施
経団連による2014年度 社会貢献活動実績調査では、9割超の企業が「社会貢献活動について社内へ情報提供を行っている」と回答しており、大企業ではかなり一般的に社員への情報提供が行われていることがわかります。
社内への情報提供の手段は、メールやイントラネット(81%)、社内報(76%)などです。
ボランティア活動は「自発的なもの」ではありますが、上述のように会社員のボランティア経験率は、同じように働いている「医師・弁護士等の資格職」や「自営業・家族従業者」と比較しても半分ほどの非常に低い数値となっており、企業による雰囲気・きっかけづくりが求められています。
しかし、このような取り組みは人事、総務部の工数がかかることも事実です。
そこで、国内最大級のボランティア募集サイトを運営する弊社では、下記のようなソリューションを提供しています。
ソリューション1:情報収集・提供を自動化し、工数削減
お客様のご要望に合わせ、条件にマッチするボランティア募集情報を一覧表示する専用ページを提供いたします。
これにより、従業員が参加可能な情報の収集と、その情報の社員への提供を自動化することが可能です。コスト削減や単純業務の切り出しなどのメリットに繋がります。
情報提供の具体的な手法については、様々な形に対応が可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
ソリューション2:豊富な情報数と魅力が伝わるページ
居住地も興味関心も様々な従業員に対して、わずか数件の募集情報を提供しても効果的とはいえません。とはいえ、上述のように情報の収集は工数もかかるため、多くの情報を収集・提供しようとすると、コストや担当者の負担が膨れ上がってしまいます。
activoでは豊富な情報数に加えて、写真なども掲載された魅力が伝わりやすい情報が集まっているため、全国に支社がある企業様の場合でも社員ボランティアのきっかけづくりや継続の支援に繋げることが可能です。
ソリューション3:活動への応募状況の把握が容易に
また、活動への応募情報を把握することも容易となりますので、社内外へ社会貢献活動の実績を広報する際にも役立ちます。
ボランティア休暇制度
非常に多くの企業がボランティア休暇制度を取り入れています。
CECPによるGiving in Numbers 2014でも、135人の専門家が従業員満足度を高めるために有効な戦略であるとして、1位「ボランティア休暇(47%)」と回答しています。
2位「通年のマッチング寄付(22%)」等よりも倍以上の結果です。
しかし、実際にあまり制度が使われない、といった課題を抱える企業も少なくありません。
制度はあるが、あまり使われていない現状
経団連による「2017年度社会貢献活動実績調査結果」によると、50%の企業がボランティア休暇制度を導入していますが、年間の制度申請者数は、1社平均83名にとどまっています。
2014年度の40.5名に比較すると少し増えてはいますが、経団連会員企業の従業員数の多さを考えると、決して多いとは言えない人数です。
現場の声としても、制度を実際に使いづらいという声もあります。
リクルートワークス研究所「個人のキャリアを豊かにする企業の社会貢献活動」の中でも、現場の声として「みんな忙しく働いているのに、ボランティアなんかしている」といった職場の目が気になる、という話が何度も聞かれたと紹介されています。
企業によるきっかけづくり、継続のバックアップが大切
先程紹介した、ボランティア休暇制度を利用しづらいといった職場の空気を「正直想像できてしまう」という方も少なくないのではないでしょうか。
制度だけでなく、企業によるバックアップや文化・意識の醸成が必要となっています。
そうなるとやはり先程も紹介したような、従業員が参加可能なボランティア募集情報の提供などのきっかけづくりは非常に有効な手段であるといえるでしょう。 「どんなボランティアがあるのかわからない」といった課題の解決だけでなく、企業側が丁寧に制度利用を促すことで、企業の姿勢を社内に浸透させることにも期待できます。 そうした姿勢によって制度利用につながり、従業員エンゲージメントや人材育成に結びついていくのでしょう。
activoのソリューションを活用した事例としては、リブセンス社の有給ボランティア休暇制度を後押しする取り組みも実施しております。
また、国内最大級のボランティア募集情報サイトとして1つ提言としては、思い切って休日のボランティア活動もボランティア休暇制度の対象としてしまう、といった方法も効果的だと考えます。
従業員が自発的に参加してみたい!と思える活動が見つからなければボランティア休暇制度の利用には絶対につながらないわけですが、平日のボランティア募集よりも休日での募集の方が断然数が多いのです。
先程の企業の本気度や姿勢を示すことにも繋がり、大変効果的だと考えています。
「Dollars for Doers」プログラム
日系企業ではまだまだ事例は少ないですが、外資系企業では「従業員のボランティア参加時間に応じて、活動参加先の団体へ寄付を行う」という形で、従業員のボランティア参加を促している企業もあります。
社員が行う寄付に対して、企業も同額程度を上乗せで寄付を実施する「マッチングギフト」の取り組みは国内でも多くの事例がありますが、それの「ボランティア版」とも言える制度です。
例えば、米国バクスター社では、従業員が好きな慈善団体へボランティア活動を行うことが認められており、さらに企業側からボランティア10時間で100ドルの寄付が行われるとのことです。
自身のボランティア活動が、企業のバックアップにより金銭的にも慈善団体を支援することに繋がるとなると、よりボランティアへの参加意欲を掻き立てることができ、ひいては企業への帰属意識の向上やCSRへの好影響などのメリットも期待できます。
企業従業員向けボランティアの一例
ここからは、国内最大級のボランティア募集サイト「activo」に寄せられる、企業従業員が参加可能なボランティア募集情報を一部ご紹介いたします。
もっと見る
ソリューション
これにより、従業員が参加可能な情報の収集と、その情報の従業員への提供を自動化できます。コスト削減や単純業務の切り出しなどのメリットに繋がります。
専用ページ以外にもPDFやCSVなど、様々な形式での情報紹介が可能です。
activoでは豊富な情報数に加えて、写真なども掲載された魅力が伝わりやすい情報が集まっているため、全国に支社がある企業様の場合でも社員ボランティアのきっかけづくりや継続の支援に繋げることが可能です。
また、活動へ応募した従業員向けにアンケートを実施し、満足度や感じたことなど、インサイトを探ることも可能です。
また、貴社の基準や方針に合うよう、審査結果を元にしたフィルタリングを柔軟に行うことが可能です。
しかし、多くの従業員からの認知や興味を獲得するには、情報の周知や興味獲得が必要になります。
当サービスでは、認知・興味を獲得するための様々な標準機能やオプションをご用意しており、従業員の活動参加数増に向けた伴走を行います。
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