趣味、子育て、仲間と一杯の「ついで」にはじめたボランティアで環境大臣賞!
私(代表の堀崎)は15年前に東京に転職して引っ越してきました。ただ、なんだか忙しくて息苦しい社会だなと感じていたのと、アウトドア趣味が高じたのとで、八王子に荒れた山林を親類がもっていると聞いて早速週末通いをはじめました。2006年のことです。要はちょっと仕事や生活につかれて自分だけの居場所や時間がほしかったのです。
数十年人が入ることのなかったら山というのは当然ながら藪が生い茂り入る道もありません。泥だらけになって道に迷いながら時に不審者扱い変人扱いされながら2年かけてようやく道や広場ができて展望も開けてきました。
やがて生まれたばかりの子どもと背負って家族と通ったり、飲み会代わりに友人を誘っていくようになりました。すると、何もないところのはずなのに、汗を流して登り、大声で笑って、たくさん話して、いっぱい食べて、みんなすっきりするのか、また絶対来たいと全員が強くいうのです。
これはなにか里山にはとてつもない力があるぞ、この力を何か社会のために活用できないか、誰がこの里山を一番必要としているのかと妄想を大きく膨らませたのでした。
そしてふと思いつきましたのは、家族から離れて暮らす児童養護施設の子どもたちにとってはここはふるさとのような大切な場になるんじゃないかということでした。
でもそこから話は簡単には進みませんでした。
2009年に任意のボランティア団体を立ち上げたのですが、肝心の児童養護施設の方が全く決まりません。メール、電話、手紙を送っても相手にされずに2年間足踏み状態。要するに信用がなかったんでしょうね。実績もないよくわからないおじさんと荒れた山林なんかに行って大事な子どもに何かあったらという施設側の気持ちは今になってみるとよく分かりますが。
道がひらけたのは、藁をもつかむような感じで、東京ボランティア市民活動センターさんに相談したところからです。相談員の方が私たちの活動に共感してくださって、児童養護施設の職員として働いている大学時代の先輩を紹介してくださったのです。その職員の方は千葉の大自然のなかにある施設に勤めた経験があり、大都会東京にもそんな場があるなら子どもたちがどんな反応をするのかとにかく一度行ってみようということになったのです。
それからはとんとん拍子に進み、子どもや職員からの絶大な人気を受けて毎月1回ほどのペースで継続し、3つの児童養護施設と9年間で67回、約400名の家族と離れて暮らす子どもたちが参加しました。
そして最近、「環境保全」と「児童福祉」に一石二鳥で取り組む前例のない活動として、グッドライフアワード環境大臣賞最優秀賞と健康寿命をのばそうアワード厚生労働省子ども家庭局長賞をダブル受賞するなど社会的に評価をいただけるようにまでなりました。
不思議なもので、大きな理念を掲げて始めた訳ではなく、趣味のついでに子育て、ついでに仲間との一杯、そしてついでに環境保全も、ついでに児童福祉もと拡げてきただけの活動だったのです。たくさんの試行錯誤はありましたが、そんな中でできたご縁こそがこの活動を作り上げているのを今しみじみと感じています。
2021年2月 東京里山開拓団・代表 堀崎
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東京里山開拓団の法人活動理念
東京里山開拓団の目指すところ
東京里山開拓団は荒れた山林を自ら開拓活用することを通じて、現代都市社会の抱える課題克服に貢献することを目指しています。児童養護施設との里山開拓の意義は単に子どもたちに自然のなかで遊ぶ機会を提供することにとどまりません。現代都市社会のなかで、使われることなく荒れ果ててしまっている山林やふもとの空き家を、特に現代都市社会のひずみのなかで弱い立場におかれた人のチカラを生かして再生し、自らふるさとづくりを進めることで、「環境保全」と「社会福祉」を一石二鳥で進めるところにあります。
わたしたちが里山で再発見したのは、いろいろな立場の人を受け入れるチカラ、現代都市社会が失った自然や人とのつながりを生み出すチカラ、社会がどうあれ生き抜こうとする自然のたくましいチカラです。そして、子どもたちも、ありのままでいられる環境に置かれたとき目覚ましい生きるチカラを発揮してくれます。これらのチカラをうまく活用することできれば、現代都市社会の様々な社会課題さえ解決することができるのではないかとさえ感じているのです。
東京里山開拓団は、様々な立場の人とともに里山に集い、自然の恵みを生かし、新たな楽しみやつながり、役割を見出す「現代都市社会における里山開拓」を通じて、楽しみながらコストをかけずに社会課題の克服に貢献する壮大な夢を描いています。