Wisa|多文化共生を実現するベトナム人&中国(華)人を応援するコミュニティ・チャンピオン・プログラム 活動報告
Wisa(ウィーサ)|特定非営利活動法人わかもの国際支援協会は、「中央共同募金会-赤い羽根新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン~外国にルールがある人々への支援活動応援助成第二回目」の助成を受け、「外国人住民のコミュニティ形成を行う外国人の地域ボランティア・リーダー人材を育成するための日本版『コミュニティ・チャンピオン』プログラムのモデル事業」を実施しました。(2021年10月―2022年9月)
目次
どうして支援が必要なの?
令和3(2021)年12月、大阪市内には149の国や地域を出身とする138,748人の外国人住民が居住し、全市民のうちの約5.1%を占めるまでになりました。様々な理由や目的(留学・労働・技能実習等)で地域住民となる外国人の中には、十分に日本語を話せないまま、文化の異なる環境で様々な生活課題に直面している方々が多くいます。
大阪市・各区・公共機関はそのような外国人の悩みに対応するべく、さまざまな相談窓口を設けています(下図:大阪市内外国人相談窓口|一般社団法人総合生存学インパクトセンター作成(2020年))。 しかし、急増しているベトナム人を代表に、そのような相談窓口には多くの外国人が相談に行くことができません。大阪市が行った調査(令和2年)によれば、外国人が「困りごとの相談相手」としている割合は「家族」が52.9%、「友人・知人」46.6%、「友人・知り合い(日本人)」が46.5%の順で多く、企業や学校へ相談ができる外国人は3割以下に留まっています。
大阪市内外国人相談窓口|一般社団法人総合生存学インパクトセンター作成(2020年)
2018年から日本語教育を通じた外国人の教育支援・生活相談支援を行ってきたWisa(ウィーサ)NPO法人わかもの国際支援協会は、そのような個人と制度(相談窓口)の中間(メゾ)領域を橋渡しできる、外国人のボランティア・市民活動リーダーの人材を育成するために、コミュニティ・チャンピオン・プログラムを開発し、その成果を発表するコンテストを実施しました。 また関係者(78名)にそのプロセスと成果について発表をしました。
コミュニティ・チャンピオンってなぁに?
コミュニティ・チャンピオンとは、地域で同じ言葉を話す外国人コミュニティの中で、さまざまな方法で率困っている人を助けるリーダー人材のことです。
Wisaはそのような人材を育成するために、ベトナム語と中国(台湾華)で学習できる全10回のワークショップを開発しました。 コミュニティ・チャンピンプログラムの内容
この全10回のワークショップを通じて、多文化共生を実現するためのボランティア・市民活動の始め方を学ぶことができました。
活動実施の様子
学習に参加している様子
親子・家族の対話ワークショップ(「笑顔のためにできること」2022年5月撮影)
どんなことを学んだの?
学習の会場は、Gather town を活用して開発したWisaメタバース「Petiness」。 参加者は3~4人程度で一組になって、与えられた問いに対して、答えを考えて回答をまとめていきます。
たとえば、「どんなときに、心は嬉しくなる? どんなときに心は悲しくなる?」「泣いている友達に、あなたならどんな言葉をかけてみる?」という問いをグループで交換すると、共感するための言葉かけや振る舞いについて理解を分かち合っていくことができます。
また「しあわせってなぁに?」というワークでは、「おかあさんとおとうさんと、焼肉に行くこと」といった回答から、「学校の先生が大きな声を出さないこと」といった回答も。 参加者は13歳―でしたが、その家族の方も一緒に参加しながら楽しく対話型の学びを得ていきました。
どんなアイディア・企画をもったチャンピオンが生まれたの?
最終回となった、2022年8月20日(金)19:00-21:00には、10のグループが異なる多文化共生推進のためのボランティア企画を発表しました。
- ベトナム文化サロン「バンベー」:日本人を対象としたベトナム語&料理教室
- 多文化共生ワークショップ普及:差別・人権に関わる文化的な偏見を解消する教育啓発
- 国際交流E-スポーツイベント:スマートフォンゲームをきっかけとした交流活動
- 台湾華語(中国語)教室:台湾人による中国語教室
- OSAKA-giúp đỡ lẫn nhau:Facebookを活用したオンライン生活相談
- プチ・ホームステイ:日本人と中華系外国人の児童同士の交換ホームステイ
- 翻訳チャレンジ:日本語学習を兼ねたベトナム人による公共情報の翻訳ボランティア
- OSAKAアジア系レストラン発信局:アジア系のレストランを食べ歩き、SNS・Youtubeで発信
- Study with Me:語学学習者のためのポモドーロ活用型オンライン・メタバースコミュニティ
- 支援マップ作り:大阪市内でベトナム人が気軽に立ち寄れる場所の資源マップ
「Study with Me」企画を発表した参加者家族からの感謝メッセージ(2022年8月)
- 「私たちは普段は家族や友達とも話せない、色々なことを自由に話しました。また私たちはオンラインのメタバースを初めて使いました。ときどき難しい質問がありましたが、私たちはみんなで答えを議論しました。そうすると、お互いのことがみんな分かってきました。これからも、この取り組みをもっとたくさんのベトナム人にも知ってもらいたいです。」
- Chúng tôi có thể nói về nhiều chủ đề khác nhau. Tôi có thể nói nhiều điều một cách thoải mái. Nó rất thú vị. Đôi khi, chúng tôi có những câu hỏi khó, nhưng chúng tôi đã tìm ra câu trả lời bằng cách nói chuyện tốt. Tôi hy vọng nhiều người có thể biết đến hoạt động này.
参加してくださった54名中、42名(87%)が5「とても満足した」と5名「満足した」と今回のコミュニティ・チャンピオン・プログラムを高く評価してくださりました。その理由として、「自分たちの生活課題について話し合えた」(複数選択、89%)「日頃はあまり話題にできなかったことが話せた」(76%)「学校以外のベトナム人・中国人とつながりができた」(74%)「普段は話せない悩みごとが話せた」(62%)という言葉が届いています。
また、参加者がビデオオフのままアバターで気軽に参加できるメタバース空間を利用して学習プログラムとグループワークを行うことで、気軽な雑談や自由な対話相手の選別ができるなどした点が大きかったようです。
これからのコミュニティ・チャンピオン・プログラムは?
今回、コンテストでは「Study With Me」(スタディ・ウィズ・ミー)という企画が最優秀賞を受賞しました。
これはメタバースの利便性に感動した参加者が、日本語学習と同時に生活相談ができるベトナム人コミュニティとしてポモドーロを活用したオンライン居場所を創設とする企画です。
参加してくださった皆様と、その家族にはぜひこれからも企画の実現を目指していただきたいと思っています。
また、私たちWisaもこの企画の遂行に協力を続けていく予定です。
これからも、応援のほどを何卒よろしくお願いします。
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Wisaの法人活動理念
友達になることが最高の支援
わたしたちは「貧しいから寄付をください」「かわいそうだから助けてあげてください」という、わざとらしい支援よりも、支援する側と支援される側が対等な「ともだち」になって、自然と話したいときに話したいことを話せて、相談したいタイミングでなにかあったらいつでも相談し合える関係を築くことを最高の支援だと考えています。