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聴覚障がいとは?「障がいの種類」を中心に「就労」や「NPO」についても説明します。

公開日 2019.07.18 更新日 2021.10.25
by activo編集部



「聴覚障がい」という言葉を耳にされたことはありますか?

ひとことで言うと、「耳が聞こえない・聞こえにくい」障がいのことですが、聞こえ方にいくつか種類があるのをご存知でしょうか?

今回は、聴覚障がいをテーマに「聴覚障がいの種類」を中心として、「聴覚障がいの方の生活や職業」「聴覚障がい分野で活躍するNPO」についてもお伝えしていきます。

聴覚障がいとは

聴覚障害とは、身の周りの音や話し言葉が聞こえにくかったり、
ほとんど聞こえなかったりする状態

引用 文部科学省 聴覚障害の資料より

とされる、身体障害のひとつです。

聴覚障がい3つの分類

聴覚障害者は「中途失聴者」「難聴者」「ろう(あ)者」に分かれます。

  1. 「中途失聴者」は音声言語(話し言葉)を習得した後に耳が聞こえなくなった人
  2. 「難聴者」は聴覚があることから、補聴器などを使って音が聞き取れる人(わずかな音しか入らない方もいれば会話ができる方もいる)
  3. 「ろう(あ)者」は生まれつき耳が聞こえず、手話を使用している人


伝音(でんおん)性難聴

ちょうど耳をふさいだ時のように、音が聞こえます。
あまり騒がしくない場所で、大きな声で話しかけられれば、内容を聴き取れることが多いという傾向があります。

引用 Cochlear 伝音難聴

「伝音性難聴」の方は、補聴器などで音を大きくすると、よく聞こえるようになる場合があります。
伝音性難聴の原因は、中耳炎や鼓膜の損傷、耳の奇形などです。

感音性難聴

左右両方の耳が感音難聴の場合は、大きな声で話しかけられても、その内容を理解することは難しいでしょう。左右どちらかの耳が感音難聴の場合は、音がどこから聞こえるかが分かりづらかったり、騒がしい場所で話を聴くのが難しかったりするでしょう。

引用 Cochlear 感音難聴

この感音性難聴の原因は、先天的なものであると、胎児の発達異常や遺伝性があります。
後天的なものであると、加齢や過度の騒音、事故や病気などです。

混合性難聴

伝音難聴と感音難聴の両方の症状が見られます。音が小さく聞こえ、聴き取りが困難になることがあります。

引用 Cochlear 伝音性難聴

「混合性難聴」は「伝音性難聴」と「感音性難聴」のどちらの要素が大きいかによって聞こえ方が異なります。

聴覚障がいの方の生活をサポートする「聴導犬」&「手話」

聴覚障害がいは人によって聞こえ方がかなり違うことがわかってきました。
では、耳が不自由な人がコミュニケーションをとったり、安全に暮らすためにはどのようなサポートを受けているのでしょうか?

聴導犬

聴導犬とは耳の聞こえない人や耳の聞こえにくい人たちに必要な情報を伝えてくれる身体障害者補助犬のこと

引用 公益社団法人日本聴導犬推進協会 聴導犬について

聴導犬は、道を歩くときに「自転車のベル」が鳴っていることを知らせてくれたり、家にいる時には「インターフォン」を知らせてくれたり、非常時では「火災報知器」や「非常ベル」など、生活のあらゆる音を知らせてくれます。

障がいを持つ方のために働く犬は他にも「介助犬」「盲導犬」などがあります。
詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。



手話

「手話」は手や指だけでなく、顔の部位も使って言葉を表す「コミュニケーションツール」です。

視線や眉、首の向きなどを使うことを「非手指動作」といい、「非手指動作」を使うことで、「命令」なのか「疑問」なのか、など文法的な意味を表すことができます。

手話について詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。



筆談

手話が使えない聴覚障がいの方が使うことが多いのがこの「筆談」。
電車やバスなどの公共交通機関では筆談具が置かれていることが多いです。

筆談について詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。



聴覚障害者の方の暮らし〜学校とお仕事編〜

聴覚障がいの子どもは「特別支援学校」または「一般の学校」に通う

かつては、聴覚障害の子どもに特化した学校として「聾(ろう)学校」がありました。
しかし、2007年に「聾(ろう)学校」は他の「盲学校」「養護学校」と共に「特別支援学校」へと一本化することになり、「聾(ろう)学校」は「特別支援学校」へと名称が変わりました。

そして今では「特別支援学校」か「一般の学校」のどちらかを選ぶ仕組みになっています。

特別支援学校では、耳が聞こえにくい子どものためのために様々な工夫がされています。
例えば、廊下の踊り場には大きな鏡をつけて階段での事故を防いだり、授業と休み時間がわかるように、設置されたランプが点灯するなどの工夫がされています。

参考 Silent Voice 【工夫が沢山】聴こえない子どもたちの学び舎・京都府立聾学校へ行ってきました。

聴覚障がいの方が「会社員」として働く

聾学校在学中にインターンシップ実習で仕事を体験した印刷会社に就職したMさん。

仕事はパソコンを使って行う仕事や、ラベルを貼ったりする包装作業です。
コミュニケーションは簡単な手話を使って健常者の社員と話したり、筆談で仕事の連絡をやりとりしています。

参考  京都市障害者就労支援推進会議 はたらきまひょ 体験談

聴覚障がいの方を支えるNPO

聴覚障がいの方が自立して暮らしていけるような活動をされているNPOをいくつかご紹介します。

就労自立支援

例えば、手話教室や聴覚障害者の就労自立支援が行われていたり、耳が聞こえない人のためのグループホームを設立し、手話でコミュニケーションできる環境づくりをしているNPOもあります。

特定非営利活動法人にいまーるさんでは上記のような活動をされています。

興味のある方はサイトをご覧ください。

聴覚障害者の範囲を国際基準に沿ったものにするように「デシベルダウン」運動

日本の福祉サービスは、原則として障害者手帳を持っている人を対象として作られていますが、身体障害者福祉法では聴覚レベルによって、普通の会話が難しい平均聴力60デシベルの人は障害者手帳を取得できません。

特定非営利活動法人東京都中途失聴・難聴協会さんでは、聞こえに困っている方が福祉制度をより活用できるように、この基準を世界保健機関(WHO)の基準に沿ったものにする「デシベルダウン」運動の活動をされています。

興味のある方はサイトをご覧ください。



聴覚障がいを知って、住みやすい社会づくりの一員になりませんか?

今回は聴覚障がいをテーマにお話しました。

難聴にも分類があって、聞こえ方は人それぞれ違うことがわかり、より個人個人のケアが必要であると感じます。
もし、聴覚障がいのある方とお話する機会があれば、「どちらの耳がより音を聞き取りやすいのか」「喋る環境は適切か」などを考えるとよいでしょう。

また、街で聴導犬や他のお仕事をしている犬に出会った時は、いくらかわいくても、なでたり見つめたりしないようにしたいですね。
少しでも障がいの特性を知って、少しの気遣いをするだけでより住みやすい環境になるのではないでしょうか?

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    この記事のライター

    activo編集部

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