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2022/06/25

チョイふるストーリー Vol.3 「自分の中の当たり前」理事・加藤大さん

一般社団法人チョイふるのメンバーをご紹介していく企画、「チョイふるストーリー」。
第3回目は、チョイふるの理事メンバーの加藤大さんにインタビューしました。

<プロフィール>
一般社団法人チョイふる ボランティア/理事
加藤大(かとうだい)

J.P.モルガンに2009年に入社、2019年にCSRへ社内異動。JPモルガン・チェース財団を通じて日本の社会課題解決に一企業として取り組む。
バーモント州立大学経済学部卒業、マッコーリー大学国際関係修士号、品川区保護司

Q. 加藤さんは現在理事をされていますが、もともとチョイふるとはどのように出逢われたんですか?

きっかけとしては、コロナウイルスが流行り始めた頃くらいに、同じく理事をしている美保子さんと仕事の関係で出会って、チョイふるを紹介されたことです。

偶然、わくわく便がある土曜日に予定が空いていたので、行ってみて、そこからほぼ毎回参加しています。

僕はJPモルガンという金融機関でCSR(企業の社会的責任)についての業務を行っています。なので、普段からよくボランティアに参加したり、ボランティアを開催したりしていました。普段の活動では、社会的課題を解決することを目的として、財団で助成金を出したり、非営利組織と協働したりしています。

ボランティアには、シングルマザーの支援から路上生活者の支援までいろんなものがあります。
低所得家庭の子どもたちには、勉強の手伝いをすることもあります。
環境に関するものであれば、富士山の麓で掃除をするボランティアも開催しています。

こんな感じでボランティアに関することを仕事としていましたが、コロナウイルスの蔓延に伴い、そういった活動も自粛せざるを得なくなりました。

そんな時にチョイふると出会ったので、人と繋がりを持ちたいと思っていたことともマッチして参加したんです。

Q. チョイふると出逢われたのは、偶然が重なった要因が大きいんですね。その偶然が毎回参加するほどまでの縁になり、とても運命的なものを感じます。現在はチョイふるでどんなことをされているんですか?

最近理事になりましたが、普段はわくわく便のドライバーであり、千住エリアの担当をしています。

理事の役割としては、助成金の申請に関することや新しい事業をどうするかなどについて話し合っています。ボランティアさんにどう快く働いてもらえるかや届けたい家庭に支援をどう届けるかなども栗野さんたちと一緒に考えています。

Q. 本業のお仕事でも、本当にボランティアなどの社会に対する活動がメインだと思うんですが、なぜお休みの日にまでチョイふるで活動されているんですか?

会社での仕事は、やはり効率性だったり、インパクトの大きさだったりが重視されます。

チョイふるで行っているわくわく便は、困窮世帯の家庭までこちらから食材を届けるという非効率的な方法をとっていて、それはなかなか珍しいことなんです。

それが会社ではできないことだし、よっぽど地域に密着してフードパントリーにこれない人たちのことまで思わないとできないことだから、自分のやりたかったことと合っていたんですよね。

チョイふるの活動は、会社の活動ではなく個人で始めたことなので、仕事と比べて気楽にできています。

自分自身も足立区の困窮家庭を支援しなきゃと思っていたわけではなく、支援を必要な人たちがいて、栗野さんのように必要なことをやっている人たちがいる、というだけです。

その活動を僕は楽しいと思っていて、だからこそ続けられています。

Q. モチベーションが楽しいからというのが素敵だなと思いました。チョイふるで活動していることで他に好きなところはありますか?

やはり、ボランティアさんがバラエティに富んでいるところですかね。
仕事でも40くらいの団体さんと関わりますが、ここまでいろんな人がいるのは珍しく、この団体の特徴だと思います。

年齢も地域も専門分野もバラバラで、みんなそれぞれ意見が違うけど、方向性は同じで一緒に頑張っていて、それが大きな特徴だと思います。
特に、足立区って限定していることもあり、地域に密着して寄り添う精神がとてもあるように感じます。

わくわく便の配達中に、ボランティアの人たちといろんな話をするのが好きで、高校生とかに流行りとか遊ぶ場所とか聞くのが結構面白くて。
普段の生活では、関われない人たちと話ができるのが楽しいですね。

Q. チョイふるが新たな人との出会いや交流の場になっているんですね!チョイふるの活動を越えて関わっている人とかいますか?

はい!NPO法人アクセプト・インターナショナルの代表と出会って仲良くなりました。
今実は、会社で一緒に活動できないか話し合っているところです。

直接仕事に繋がることもあるし、ボランティアの幅が広がっているなと感じます。
なので、ボランティアといいつつ自分のためになっているんです。

僕は、わくわく便でも単純に訪問先の人と話すことが好きで、猫がいたら猫と遊びたいし、バラが家の前に咲いている家では、バラの知識を得たりしてます。

もちろん、あまり乗り気でない雰囲気を感じたらこちらから積極的に話はしません。’見守り’というのは話しかけることが全てではないと思います。

Q. チョイふるでの活動以外にしていることを教えてください!

子どもの頃からずっと動物は身近な存在で、とても大好きなんです。
6年前から動物を食べることもやめました。

通常なら屠殺されてしまう牛や豚を保護して、それ以上の搾取(乳搾りなど)をしない場所があるんです。

そういう施設をファームサンクチュアリといって、昔アメリカで行ったことがあり、そこでの体験が今でも強く心を動かされた記憶として残っているんです。

日本ではまだ普及していないですが、日本にファームサンクチュアリをつくることが自分の夢です。

ファームサンクチュアリを勉強しているうちに畜産(=人間のために殺されてしまうこと)がよくないことだと思い、それをどうやったら減らしていけるか、どうやったら酪農家の人たちがもうちょっと違う形で生活していけるようになるか考えています。小規模酪農ってめちゃくちゃ重労働なんですよ。

その中で、植物性ミルクのオーツミルクに着目していて、日本でも酪農家の人たちにオーツを育ててもらえないかなと。
オーツミルクの人気が高まってきていますが、日本にあるオーツミルクは全てヨーロッパからきていて、日本産がないんです。
酪農家の人たちがオーツミルクを育てて、その代わりに牛乳を減らしてもらうことで、収入の柱が2つできて、リスクヘッジにもなります。

ビーガンの人たちの中には酪農家を無くした方が良いと主張する人もいますが、僕にとっての酪農家は、家族経営が多く、生まれた時からそれ以外の選択肢がない困窮している人たちなんです。

彼らの生活も良くしたいと思うので、生産者側へのアプローチもできるのではとオーツミルクの生産を提案しています。動物が好きな酪農家もいます。彼らが酪農をやめてオーツミルクで生計を立てながらサンクチュアリにビジネスをシフトしてくれたら泣いちゃいますね。

実際に自分でも神奈川県でオーツを育ててみたり、北海道の酪農家のところ行って話を聞いたりしています。オーツミルクを作る機械を輸入する話も進んでいます。

畜産と気候変動が密接に関わっていることは周知の事実となりましたが、気候変動はより弱いものに対して影響が大きいですし、今の子どもたちが将来一番大きな影響を受けます。動物に優しくすることは、気候変動への活動であり、それはつまり今の子供達の未来への活動です。

こんなふうに色々考えると社会問題が多すぎると感じますが、気候変動の例のように全ては繋がっています。それぞれが関心のある課題に取り組むことは、この問題なのかあの問題なのかを選択することではなく、矛盾することでもありません、その対象が子どもでも、ひとり親でも、少年犯罪でも、もしくは僕のケースで言えば動物たちでも、それぞれの選択肢の先はきっと繋がっています。

こういうことが当たり前の社会っていいですよね。

【インタビュアーより】
チョイふるストーリー第三回目は加藤大さんにお話をお伺いしました。加藤さんはとてもおおらかな方で、お話をお伺いする中でも心が本当にお優しいんだなと感じました。1時間のインタビューが終わった後に、加藤さんが北海道の酪農農家さんに訪問された時のメモを共有してくださいました。加藤さんの醸し出す柔らかさの中に見えるブレない想いへの一貫性がかっこよく、そこにはこれまでいろんな葛藤などがあったことを伺わせています。また行動や幸せの基準が自分軸ではなく、他人軸であることに強く共感し、やはりこの団体に集まる方は似た考えを持つ方が多いことを改めて感じました。

最後に、インタビュー後以下のようなメッセージをくれました。「栗野さんが貧困を『機会の損失・選択肢の損失』としているのに対して、僕は『支援の欠落(impoverished from support)』を貧困の定義としている」。この言葉は貧困支援に関わる人たちが考えてみる価値のあることではないかと思います。今回は思考の余白を残して終わりたいと思います。読んでくださりありがとうございました!

(インタビュアー・執筆 佐向凜々花 <チョイふる学生インターン> )

 

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