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2022/04/15

貧困下で育ったNPO代表と教育格差

こんにちは。NPO法人CLACK理事長の平井といいます。

大学時代の2018年にCLACKを立ち上げ、2022年4月現在26歳です。

僕は中学生のときに、父親の自営業が潰れ父親が借金を背負い、両親が離婚したことによって、貧困状態に陥りました。

今回は僕が実際に経験した体験とデータを比較しながら教育格差についてご紹介していきます。

あくまでデータで語られることは傾向であり、低所得世帯だからこうだとかラベリングしたいわけではないです。また、偏差値や学歴が低いからどうこうというつもりはないです。

貧困が連鎖する日本の社会構造

前提として日本は貧困が連鎖する社会構造にあると言われています。

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ざっくり言うと、親の年収が低いと大学進学率が低くなり、学歴が低くなると、非正規雇用率が高くなり、非正規雇用だと平均的には年収が低くなってしまい、この連鎖が続いていくという構造となっています。

当時の平井の家庭状況

当時の平井家の(奨学金申請時に見せてもらった)世帯年収は額面で200万円以下でした。相対的貧困の定義としては”等価可処分世帯所得が中央値の半分以下の世帯”となっています。

世帯の人数によっても基準額は変わるのですが、僕の当時の家庭状況は父一人、子一人だったので200万円が基準額になっています。この基準に照らすと僕も相対的貧困家庭で育ったと言えます。

ここで、相対的貧困家庭だと長いので”低所得世帯”とこの記事では記載させてください。

低所得世帯と全体で有意な差が出ているものが3つあります。

・「食料が買えなかった経験」が「あった」とする割合は、全体では11.3%に対し、低所得世帯では37.7%

・「衣服が買えなかった経験」が「あった」とする割合は、全体では16.3%に対し、低所得世帯では37.7%

・「公共料金」の未払いが発生している割合は、全体では5.7%に対し、低所得世帯では20.7%

当時の僕の家庭では、「食料が買えなかった経験」「公共料金の未払いが発生している」の2つにあてはまりました。

低所得の中で高偏差値の公立校に進学

僕は中学生時代に野球部に所属していました。

その野球部の友人の多くは偏差値45以下(成績下位30%)の高校に進学しました。僕自身も父子家庭でしたが、体感的には野球部の同級生の半分ほどがひとり親家庭でした。

高校は北野高校に進学しました。北野高校は大阪府の公立のトップ校で、最近だと5年連続で京都大学の合格者数全国1位となっています。

中学校が北野高校の隣で身近な存在だったという特殊な条件はありましたが、平井がなぜ高偏差値の高校に進学できたのかについて、統計データを用いて考えていきます。

偏差値とSES(社会経済的地位)の関係

ここでSESという指標を使ってみていきましょう。

SES(Socio-Economic Status)とは、日本語で社会経済的地位のことで家庭所得、父親・母親の学歴を組み合わせた指標です。

SESの図↑赤丸が私立高校、青丸が公立高校を表しています。

北野高校は今検索すると偏差値76、当時はもう少し低かったと記憶しているため、ざっくり偏差値70(上位2%)としてみていきます。

グラフの青の直線から読み取ると学校SESは64(上位8%)をさしています。つまり、年収が高く、両親とも大卒の家庭が非常に多いといえます。

一方、平井の友人の多くが進学した偏差値45以下の高校ではどうでしょうか。偏差値45をグラフの青の直線から読み取ると学校SESは44(下位27%)をさしています。

傾向として低学力の高校には低SESの生徒が多い。逆に高学力の高校には高SESの生徒が多いという結果が出ています。その中でなぜ平井は学力上位2%以上の高校に進学できたのか。これを教育社会学の視点からみていきます。

低所得世帯だったがSESは比較的高かった

結論からいうと、僕は低所得世帯ではあったのですが、両親とも大卒でSESは比較的高かったのです。

高校偏差値と両親の大卒割合・家庭にある本の数の比較

蔵書数

↑高校偏差値と両親の大卒割合・家庭にある本の冊数平均

偏差値が60以上の高校では両親とも大卒の割合が54%、偏差値40以下の高校では両親とも大卒の割合が12%と両者で42%もの差があります。

平井は両親とも大卒だったので偏差値60以上の高校の”多数派”となっています。

また図の右側の本の冊数平均に関しても、偏差値60以上と40以下の高校では家庭の本の冊数平均が倍近く差がついています。

本に関しても、平井は小学生のときに教育関係の漫画(ドラえもんの◯◯がわかるシリーズ)だったら買ってもらえたので、その点も”比較的”恵まれていたといえます。

両親の学歴が子どもの進学希望に及ぼす影響

「自分の子どもにどの段階までの進学を希望するか」という調査に関して、高卒以下の学歴を希望すると回答した割合は、両親ともに大卒以上の場合11.8%に対し、両親ともに高卒以下の場合45.2%となっています。

つまり両親ともに高卒以下の学歴の場合、半数近くが子どもに高卒以下の学歴を希望するという結果が出ています。

低所得世帯は塾や習い事、家族旅行の機会が少ない

また平井は塾や習い事でも比較的恵まれていたと考えられます。

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学習塾について
平井は小4から学習塾に通うことができていました。

しかし、「子どもを学習塾に通わすことができなかった」と回答した割合は、世帯年収中央値以上の世帯では4.3%であったのに対し、「低所得世帯」では27.0%となっています。

習い事について
平井は小1から習字、水泳、ピアノ、体操、空手、ソフトボールをとりあえずやっていました(1年くらいで辞めたものも多かったですが)。ソフトボール以外は自分の意志というよりは母親に勧められてだったと思います。

しかし、「子どもを習い事に通わすことができなかった」と回答した割合は、中央値以上の世帯では3.6%であったのに対し、「低所得世帯」では28.8%

家族旅行について
平井は年に1回程度お盆の時期に家族で石川県の親戚の家にいっていました。またUSJに連れていってもらったことも何度かありました。

「家族旅行(テーマパークなど日帰りのおでかけを含む)ができなかった」と回答した割合は、中央値以上の世帯では8.3%であったのに対し、「低所得世帯」では41.0%

低所得世帯の子どもが経験できないことの多い3つの機会とも経験できていたという意味でも小学生のときの僕は”比較的”恵まれていました。

貧困に陥ってからも社会保障を利用できていた

低所得世帯で基本的に受けることのできる就学援助や児童扶養手当といった社会保障に関しても、受給の基準を満たすにもかかわらず利用できていない家庭は少なからずいます。

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内閣府の調査によると、世帯収入が中央の2分の1未満の世帯(低所得世帯)でも「就学援助」は58.6%、「児童扶養手当」は46.2%

ひとり親世帯では「就学援助」は61.0%、「児童扶養手当」は65.7%

平井の家庭は両方もらえていました。

低所得世帯では半数近くが就学援助や児童扶養手当をもらっていないということから考えるとこれも運がいいと言えると思います。

平井は低所得世帯の中では恵まれている少数派なのではないか

・両親が大卒であること。
・塾や習い事に通うことができたこと。
・家に本があったり家族旅行にいけたりと文化的な経験を積めたこと。

これは低所得世帯の中では少数派といえるかもしれません。

もちろん、両親が大卒で、塾や習い事をしていれば、誰もが貧困から脱出できるわけではありません。しかし、少なくとも平井個人の実感としては上記のどれかの環境が欠けていれば、高校で高偏差値高校に進学し、国公立大学に進学することもできていなかったと思っています。

教育格差を埋めていき、子どもたちが生まれ育った環境に関係なく、希望とワクワクを感じられる社会をみなさんと一緒につくっていきたいからです。

CLACKはプログラミングによる学習支援とキャリア教育という手法で経済的に困難を抱える高校生に対しての自走支援を行っています。

これによって高校まで低SESの世帯で低学力のまま高校まであがってしまった子どもが、プログラミング学習の中で、将来役立つスキルと学習習慣、将来への具体的なイメージを身につけていける機会を2018年より提供しています。

現在、大阪の教室マネージャーを募集しているので一緒に取り組んでみたいと思った方はactivoページをご覧ください。またボランティアも募集しているのでそちらもどうぞ宜しくお願いします。

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