CLACKが取り組む、「子どもの貧困」という課題
今日はマクロな視点から、CLACKが取り組む「子どもの貧困」という課題について書いていきたいと思います。
貧困問題に関心がある人はもちろん、なんとなくしか知らないけど、、という人まで、いろんな人に読んでもらえると嬉しいです。
相対的貧困について
「日本の7人に1人の子どもが貧困」
どこかでこの言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?
ここでいう「貧困」とは「相対的貧困」を指します。
では、相対的貧困とはどういうものなのでしょうか。
相対的貧困世帯の辞書的なお堅い定義としては、”等価可処分世帯所得が中央値の半分以下の世帯”となっています。
これだとピンと来ずらいと思うので、具体的な月収で説明していきます。
基準額は世帯の人数によって基準が変わってきます。ただ、単純に世帯の人数が2倍になったら、基準額も2倍になる訳ではありません。
ざっくりした計算方法としては、世帯の人数に√をかけて、それに10万円をかけた値が貧困ラインとされています。
月14万円以下で成長期の子どもを育てていくのが簡単ではないことは、想像しやすいと思います。
こうした家庭で育つ子どもが7人に1人もいるのが、今の日本の現状なのです。
世帯ごとに大きく異なる大学進学率
全世帯では、73.0%まで上昇している大学等進学率(専門学校含む)も
ひとり親世帯では、58.5%
生活保護世帯では、36.0%(※1)
児童養護施設では、28.3%(内大学進学は14.0%)(※2)と経済状況や家庭環境によって明らかに異なっています。
大学や専門学校に進学することが必ずしもいいことだとは限りませんが、少なくとも進学を希望しているにも関わらず、選択できない状況は問題だと考えます。
貧困が連鎖する社会の構造
所得の格差自体は資本主義である以上、どんどん広がっていきます。
そのため、問題は所得格差ではなく、本人の頑張りだけではどうしようもない貧困が連鎖する構造であると考えています。
上の図(※3)の①から④の順に見ていきます。この循環によって、貧困から抜け出す難しさが見えてきます。
親の年収が高いほど子どもは大学進学する傾向がある(①)
最終学歴が中卒・高卒の人の約半数が非正規雇用(②)
日本では非正規雇用の年収は正規雇用の年収の約3分の1(③)
教育にかけるお金は年収に比例して大きくなっている(④)
裕福な家庭ほどより教育に力を入れ、将来高収入になりやすい一方で、貧困家庭ほど将来低収入に陥りやすいことがわかります。
年齢を重ねるごとに低学力からの「逆転」は難しくなる
日本財団の調査(※4)では、低学力のまま年齢が上がると、学力を高めることが難しくなるという結果が出ています。
中学2年生になると、偏差値45以下から偏差値45以上まで上昇するのは、たったの23.9%。つまり、4人に1人しか学力を高めていくことができません。
貧困家庭で不足しがちな経験
貧困家庭では、一般家庭と比較して塾・習い事・家族旅行(日帰り含む)にいく機会が明らかに少ないという調査結果があります。
上記のような機会の不足によって、塾や習い事での人との繋がりや家族旅行を通した文化的経験が不足していくことが考えられます。
また、他にも一般家庭の子どもが日常生活の中で身につけていくお金や生活の知識を身につける機会が少ないと言われています。
お金を渡すだけでは解決しない3つの不足
こうした環境で高校生くらいまで育った場合、単にお金を渡すだけでは貧困の連鎖からの脱出は困難です。「機会」「関係性」「知識」の3つの要素の不足が彼ら・彼女らの将来の選択肢を狭めてしまいます。
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ここまで読んでくださった方の中には、「なるべく小さい時に学習支援などのサポートをすればいいのではないか」と思う方も多いかもしれません。
しかし、ここまでの課題を踏まえた上でCLACKでは「高校生」に「プログラミング学習支援」と「キャリア教育」の機会を提供しています。
次回のストーリーでは、子どもの貧困という課題に対し、現在どんな解決策が民間で行われていて、そしてCLACKはその中でどんな役割を担おうとしているのかについて書きます。
ぜひ次回もお楽しみに!
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少しでもCLACKという団体に興味をお持ちいただけましたら、ぜひ話を聞くだけでも、お気軽にご応募ください!お待ちしております!
参考リンク
(※1)子どもの貧困対策に関する大綱(2019年11月)P.26-27
https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/pdf/r01-taikou.pdf
(※2)社会的養育の推進にむけて(令和2年10月)P.74
https://www.mhlw.go.jp/content/000698192.pdf
(※3)不安な個人、立ちすくむ国家(平成29年5月)P.29
https://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf
(※4)家庭の経済格差と子どもの認知・非認知能力格差の関係分析(2017年11月)P.11
https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2019/01/wha_pro_end_06.pdf
代表平井大輝執筆「なるほどクラック vol.4 〜「子どもの貧困」という課題〜」より、再構成のうえ転載
https://note.com/osakatarou/n/n11cc0fc6ccfa
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