「更生します」-寒い日のあたたかい再会、また彼と会える日まで-
今日も今日とて夜回りに。
12月になって、寒くなって、いつも夜回りをしている公園にいる人自体も減ったし、いつも公園で会う子たちもあまり会えなくなってきました。
今日はここ1週間の中ではまだ暖かい日だったからか、人がたくさんいました。
その中に見たことのある子がいました。
彼の名前はMくん。
15歳で、高校1年生の学年です。
因みに、髪型は金髪が混じるドレッドヘアー。
金髪の人は多い公園ですが、さすがに一発で分かります。
彼との出会いは、今年の8月。
夜回りをしていたら、4人組でいて、スピーカーを使って大きな音楽を流していました。
そういうグループには最近は声はかけにくいな~、と思って遠慮しちゃうのですが、何を思ったのか、当時の私はまだ活動を始めたばかりで怖いものなし。
声を掛けました。
いつも通り、「アンケートに答えてくれたら、お菓子をあげます」と言うと、ノリのいい感じで、「お菓子欲しい~」ということで話を聞き始めました。
年齢、住んでいる場所など話を聞いていくと、福岡でも割と複雑な地域に住んでいました。
そして、彼は高校を辞めたという話もしていました。
お菓子を食べながらアンケートに答えてくれた彼らは喉が渇いたと言い始めたので、自動販売機でジュースを買ってきて渡したら、
めちゃくちゃ喜ぶ、喜ぶ。
高校にも行っていないし、何かあるだろうということで、今後も連絡が取りたいなと思い、連絡先を交換しました。(ちなみに今は、リスクの観点から、個人の連絡先でなく、団体の連絡先を交換するようにしています)
彼らは、アンケートに答えた後、そのまま電車に乗って、帰っていったのですが、すぐにそのドレッドヘアーの彼から連絡がきました。
「さっきは、ありがとうございました」と。
律儀なんだな、と思いつつ、改めて話を聞かせてほしいと伝えると、「いいですよ」と。
日を改めて、公園近くのファミレスで話を聞くことになりました。
普通、〇〇の目的のために、こういう話が聞きたくて~という話をヒアリングをする側が伝えたうえで、ヒアリングされる側が話をすると思うのですが、私も初めてのちゃんとしたヒアリングだったので、しっかり説明できないままでいると、
彼は自分の家族のこと、兄弟のこと、彼女のこと、なぜ学校を辞めたのかを話してくれました。
その時に、名前も教えてくれました。名前はMくん。
中学校まではサッカーをしていて、学校も毎日行っていた。
けれど、希望の高校に落ちてしまって、高校では思うようにサッカーが出来なくなった。
それと同時に、高校で色々あって、高校を1か月で辞めてしまった。
今は、日雇いで時々仕事をしている。
中卒で働こうと思ったら、工場勤務とかしかないけど、発達障がいを持っていて、なかなか続かない。
高校にも入りなおしたいけど、お金は自分で出さないといけないから、難しい。
そんな中で、先輩に誘われたりして、非行をしてしまうこともある。そして、繰り返してしまうし、どんどん非行も大きくなる。
お母さんから、時々長文のLINEが送られてくる。心配かけているんだなと思う、と…
こうやって話を聞いていると、彼自身にも悪かった部分はあるかもしれないけれど、
そうじゃなく、ちょっとしたボタンの掛け違いで起こる、誰にでもあり得る話なのかもしれないと思いました。
私はここ3年ぐらい、子ども・若者と関わる仕事をしているのですが、気を付けていることは、
むやみやたらに「夢は何?」と聞いたり、将来の話をしないことです。
でも、Mくんと話したときは何を思ったのか、「将来、何したい?」と聞いたら、
「親に迷惑をかけたから、親孝行がしたい。旅行に連れていきたい」と言っていました。
やっぱり、Mくんは、真っすぐで、人に感謝が出来る人なんだなと私はその時、思いました。
けれど、彼は私に言いました。
「俺はこのまま死ぬのかな」と…
高校辞めても、非行をしたとしても、まだ若いし、長い人生、なんとかなると大人の私たちは思うけれど、
まだ15年しか生きていない彼は、人生に絶望しちゃうし、その気持ちも分かるなと思いました。
彼の気持ちを想像すると、彼と関わりを持った一人の大人として、やれることは何かあるかなと探すけれど、無力感を感じたり、やるせない気持ちになって、いつ思い出しても、未だに涙目になってしまいます。
その後、何回かご飯に一緒に行っていると、日雇いの仕事をしに、山口に行くことになったと話してくれました。
新しい仕事が見つかってよかったね、と言っていたのですが、数日後に連絡が来て、
仕事をクビになって、広島で仕事をしたいから、交通費にあてるためにお金を貸してほしいという連絡が来ました。
お金を渡すことはできたいことを伝えると、「もういいです。」と…
その1か月後ぐらいにLINEに「最近、元気?」と連絡をしたのですが、既読がつきませんでした。
ブロックされたんだな~、こんなこともあるよな〜、と思っていたところ、
今日、いつもの公園で、Mくんを見つけました。
「久しぶり!」と声をかけると、覚えていてくれたようで、「お久しぶりです」と。
「福岡に帰ってきてたんだね!ブロックしないでよ!」と言うと、「いや~、彼女が女子は全員ブロックして言って」という信じていいのか、どうなんだかという言い訳を言っていました。
いつものように、「お菓子いる?」というと、「今日はいいです」と、言われ、「元気そうでよかった!最近、どうしてるの?」と、言うと、「明後日、中央警察署に行かないといけないです、多分、そのまま保護されます」と。
「そうなんだね~、元気でね」と言うと、「更生してきます」と言っていました。
今後も何かしらの形で繋がっていたいなと思って、「出てきたら、連絡して。検索したら、出てくるから」と言って、名刺を渡すと
「ありがとうございます。財布に入れときます」と言って、
今までのとっても丁寧に名刺を財布にしまってくれました。
そんなMくんとの再会。
まずは、元気そうで嬉しかった。
そして、非行がどんどん大きくなっていっていたので、早く保護された方がいいなと思っていた部分もあり、ちょっとした安心感と、本人から「更生します」という言葉が聞けたのが、何よりでした。
私は、Mくんの可能性を信じるし、またMくんと再会できるのが私はとっても楽しみです。
きっと、これからも今回みたいに「裏切られた~」と思ったり、
ちょっとした嬉しい出来事があったりの繰り返しだと思います。
でも、共通して言うことが出来るのは、
やっぱり、私たちのしている支援は長期戦であり、腰を据えてじっくりと待つことも必要だということです。
もちろん、単発の寄付も嬉しいですが、
マンスリーサポーターとして応援してくださることが大きな力となります。
月額1000円から可能ですので、是非よろしくお願いします!
あいむの法人活動理念
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