「視覚障がい」と聞くと「目が見えない障がい」とイメージされる方が多いのではないでしょうか?
しかし、視覚障がいは「見え方」の障がいであり、目が見えなくなるという症状だけではありません。
そこで、「視覚障がいってどんな種類があるの?」といった視覚障がいの分類の話から、「視覚障がいの方の生活面」や「NPOの活動」についてもお伝えしていこうと思います。
目次
視覚障害とは、国立障害者リハビリテーションセンターによると、
視力や視野に障害があり、生活に支障を来している状態を視覚障害といいます。眼鏡をつけても一定以上の視力が出なかったり、視野が狭くなり人や物にぶつかるなどの状態
とされています。
身体障害者福祉法では、視覚障害は、視力、視野により1級から6級まで規定されています。
身体障がいの種類について詳しい知りたい方はこちらもおすすめです。
視覚障害は大きく「盲」か「弱視」に分けられます。
広島市障害者支援情報提供サイトによると、
盲の中にも、明暗の区別はつく状態、目の前の指の数程度なら分かる状態など、いくつかの程度があります。また、弱視は、視力が低い状態のほかに、見える範囲が狭い、明るいところでは見えるが暗いところでは見えにくい等の状態もふくみます。
とされています。
この「盲」と「弱視」の状態によって障がいの種類が異なるのですね。
次に視覚障害の種類を説明していきます。
視覚的な情報を全く得られない又はほとんど得られない人と、文字の拡大や視覚補助具等を使用し保有する視力を活用できる人に大きく分けられます
視力障害のうち、全く視力がないことを「全盲」といい、視力が少しでもあることを「弱視」ということもあります。
見える範囲が、狭くなったり一部が欠けたりする状態
この「視野障害」には見え方の種類があります。
2つの例を紹介します。
見える部分が中心だけになって、段々と周囲が見えなくなります。
「求心性視野狭窄」は、中心しか見ることができない視野の障がいです。
前を向いていると遠くを見ることはできますが、近いものが見えにくいため、足元がつまずきやすくなってしまいます。
周囲はぼんやり見えるが真ん中が見えません。文字等、見ようとする部分が見えなくなります。
全体像はぼんやりと見えるので歩くことはできますが、部分的に見えていないところがあるため、歩行中に物にぶつかったりしてしまいます。
色を感じる眼の機能が障害により分かりづらい状態
「色覚障害」は、色が全く識別できないわけではなく、特定の色が見にくい状態をさします。
例えば、緑と赤が区別しにくい色の1つで、緑の木の中で紅葉の赤がわからなかったり、緑色の黒板の上に書かれた赤色の字が見えにくくなります。
光を感じその強さを区別する機能が、障害により調整できなくなる状態
夜や暗いところでは何も見えなくなる「夜盲(やもう)」と呼ばれる状態になったり、光を「まぶしい・痛い」と感じるようになります。
視力が弱かったり、全く見えなくても自力で生活されている方はたくさんおられます。
では、どのようなサポートを受けておられるのでしょうか?
目の見えない人が道を歩けるように使う杖のことで、身体障害者福祉法の補装具にも認定されています。
公益社団法人日本眼科医会によると白杖は、
(1)周囲の状況や路面の変化などの情報を入手する(探り針として)、(2)安全を確保する(緩衝器、身体の支えとして、サポートケーン)、(3)視覚障害者であることを知らせる(シンボルとして)目的があります。
と説明されています。
原則、白杖を安全に使うために「歩行訓練士」の指導を受けることになっています。
点字は、道を歩くときの「点字ブロック」だったり、駅の色々な場所に点字で説明がされていたり、身の回りにたくさん使われていますね。
点字は目が見えない人にとって大事な情報源であり、その情報を頼りに歩いたり、電車を利用されています。
点字について詳しい知りたい方は以下のURLからご覧ください。
「盲導犬」は視覚障がいの方が安全に街を歩けるように、段差や曲がり角などを知らせる犬のことです。
ハーネスをつけているのが特徴です。
障がいを持つ方のために働く犬は他にも「介助犬」「聴導犬」などがあります。
補助犬について詳しい知りたい方は以下のURLからご覧ください。
次は視覚障がいの方の生活面について紹介します。
かつては視覚障害の子どもに特化した学校は「盲学校」と呼ばれていました。
しかし、2007年に「盲学校」は他の「ろう学校」「養護学校」と共に「特別支援学校」へと名前が一本化され、「盲学校」から「特別支援学校」へと名称が変わりました。
特別支援学校での勉強内容は一般の学校とほとんど同じです。
しかし、「自立活動」と呼ばれる「歩く練習」や「見る練習」をする時間があります。
学習方法は人それぞれで、「点字」で学ぶ人もいれば、「大きく太い字」で書かれた文字で学ぶ人もいます。
視覚障がいの方は鍼やお灸などを学び、マッサージを職業として活躍されることが多いようです。
マッサージをする業務以外にも、パソコンを使ってお仕事もされます。
視覚障がいがあるのになぜパソコンが使えるの?と疑問に思われたかもしれません。
実は普通のパソコンではなく、点字のディスプレイがついたパソコンで打ち、文字を音声で読み上げるソフトを使用しているのです。
そのため、視覚障害があってもパソコンが使えるように工夫されています。
視覚障がいの活動をされているNPOでは、障がい者の方に向けた活動はもちろん、健常者の方に向けた活動も行われています。
活動例を紹介します。
視覚障がいの方が日常生活で感じることや障がいの社会問題などをテーマに学校や企業で講演会が行われています。
また、障がいを持つ方が住みやすい環境となるように、正しい障がいの知識も広めています。
「同行援助」とは視覚障がいの方が安全に移動できるように、歩く時に声かけをしたり、サポートすることをいいます。
声かけのポイントをホームページ上で発信したり、「同行援護従事者養成研修」という視覚障がい者援助の講習が実施されています。
点字の出版物は限られたものしかなく、流行りの本をすぐに読むことができません。
健常者の方が点訳を習得すれば、様々な種類の本を手にすることができますね。
その他、視覚障がいの方向けに音声パソコン教室などもされていたり、女性の視覚障害者への活動、視覚障害者スポーツの促進など多岐にわたる活動がされています。
最後に、上記のような活動をされているNPOを紹介します。
NPO法人広島県視覚障害者自立支援センターさん・あい
https://sanai-heartyhand.com/
特定非営利活動法人 横浜市視覚障害者福祉協会
http://hamasikyo21.org/
よく「人は多くの情報を目で得ている」と言われています。
しかし、視覚障がいの方は目から情報源が少なく、情報を得ることが難しくなりますね。
そんな場合に役に立つのが、「白杖」や「点字」、そして「盲導犬」です。
もし、街で白杖を使用していたり、盲導犬を連れている人を見かけたら道を譲り、安全に過ごせるようにしたいものですね。
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