田舎留学プロジェクト運営局
日本全体の人口減少や高齢化に伴って、南伊豆町は将来的な担い手不足の問題を抱えている、日本に数多い典型的な過疎地域です。多くの地方自治体では移住促進策に力をいれているものの、そもそもの人口が少なくなっていく中では「パイの取り合い」になり得ます。特に、伊豆半島には魅力的な周辺自治体が多く、依然として南伊豆町はその独自性を見出すことは必須ではあるものの、独自性を見出してもなお、急激な移住者の増加は見込めません。そこで国は第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」のなかで貴重な若い労働力を複数市町村で共有する、いわゆる「関係人口」を地域の力とすることを目指すこととしました。ひとりのひとが複数の町の担い手として活躍することができれば、日本の地方にふたたび活気が戻ることでしょう。南伊豆町も関係人口増加のため、企画課地方創生室を中心に取り組んでいるところです。
2023年度地域連携ワークショップにおいて、南伊豆町役場から提示されたテーマは「観光客から関係人口へ 若者が南伊豆と関わる施策を考えよう」です。本テーマ内にある「関係人口」になるということについて、私たちは「住まずとも町の一員」になるということと捉えました。それはつまり「南伊豆町への観光を友達に勧める」「ふるさと納税で返礼品として南伊豆町の美味しい干物が欲しい」「南伊豆町を将来の移住の選択肢にしたい」「なんとなく南伊豆町のニュースや出来事が気になってしまう」といった、南伊豆町を自分ごととして捉える人々のことです。
例えば、単なる観光とは、一般に南伊豆町のみなさんが訪問者に対して観光サービスや宿泊先、食事などを提供し、訪問者が単にそれを受容することです。しかし、それは一方的な関係性かつ多くが1、2日程度の極めて短期間の滞在であるため、南伊豆町のコミュニティには深く接触していません。私たちが南伊豆町の魅力であると感じた外部者に対しての高い受容性からくる人のあたたかさを感じる前に帰ってしまい、南伊豆町を自分事として考えることはないでしょう。そのため、南伊豆町を訪れる観光客はどれだけ多くても「町の一員」にはあたらず、関係人口増加にはつながらないのが現状であり、依然として町の未来の担い手不足が問題視されています。
「つながる田舎留学」においては、お手伝いや学校における授業、さまざまなイベントへの参加といった交流を通して、参加学生と南伊豆町のみなさんの間で相互的な関係を構築し、従来の観光体験の枠を超えた「町の一員になる疑似体験」が実現します。ご近所関係が希薄な都会に住む私たち学生にとって、南伊豆町のみなさんと深く関わる体験は、本留学期間外や大学卒業後にも継続して南伊豆町と関わるきっかけになります。「南伊豆のおじいちゃんおばあちゃんに会いに行きたい」「またみんなで団らんしながら美味しい南伊豆のご飯を食べたい」「南伊豆でなら今考えているあんなビジネス、こんなボランティアできるかも」と、田舎留学後の次のステップへの想像が広がります。このようなサイクルを通し、将来的に関係人口の増加に顕著な効果をもたらします。
町役場だけでは関係人口になる町外の人々にもリーチしにくいなど、様々な問題があり、なかなか上手くいっていない現状があります。田舎留学プロジェクトは町役場のリソースだけでなく、民間企業や大学機関などさまざまなアクターのご知見の共有や金銭的ご支援、学生の情熱と学術的知見など、いままで関係人口の増加のためには利用されてこなかったようなリソースを利用することによる、今までにない絶大な関係人口創出効果を期待しています。つまり、このプロジェクトは日本の現状、国の指針、町の想い、そして私たちの情熱があわさってできた、町の未来をつくる一大プロジェクトなのです。
田舎留学プロジェクトは南伊豆町と東京の大学生の橋渡しとして、関係性を構築する機会を与え、「また帰ってきたい」「もっと町に貢献したい」という若者を生むポテンシャルがあります。将来的な移住、都市部との二拠点生活、町内でのビジネスなど、学生ひとりひとりの個性や学びを南伊豆町と結びつけていくことができるでしょう。
はじめまして。ご興味を持っていただき、ありがとうございます。私たちは「2023年度早稲田大学地域連携ワークショップ(南伊豆町)」から派生し、設立された任意団体「田舎留学プロジェクト 運営局」です。現在は南伊豆町長より委嘱を受け、南伊豆町長特命プロジェクト「田舎留学プロジェクト」事業推進スタッフとして無償のボランティア活動を行っています。24年10月の委嘱を受け、施策の実施のために早稲田大学を拠点とした主体的な活動のために「田舎留学プロジェクト 運営局」を設立しました。私たちは町役場、早稲田大学、町民の皆様など多くの方々のご協力を得ながら、25年9月に実施を予定している「つながる田舎留学」を主軸とした南伊豆町の関係人口増加のために活動している有志の首都圏の大学生の集まりです。
団体名 |
田舎留学プロジェクト運営局 |
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法人格 |
学生団体 |
HPのURL | https://inakaryuugaku.com/ |
代表者 |
山下こころ |
設立年 |
2025年 |
Twitterアカウント | inakaryuugaku |
FacebookページのURL | https://www.facebook.com/profile.php?id=61570105816181 |
職員数 |
15 |