パブリックアーツ
3年前の2022年の祖父の死とロシアのウクライナイ侵攻を機に思い出したことがありました。それは23年前に参加したフィリピンでの遺骨収集のことです。現在も100万人以上の日本人のご遺骨がまだ海外に散在しています。私はフィリピンに派遣され5元日本兵のお爺さん、お父さんを亡くされた遺児のおじさん達と一緒に遺骨を探すプロジェクトに参加しました。現地の情報は50年以上も前のもので、しかも手掘りなので思ったように見つけることができず苛立ったのを覚えています。が、何よりも元日本兵のお爺さんと遺児のおじさん達と同じ釜の飯を食べながら日本について話し合った経験はずっと頭の片隅にありました。そして、いつか現地で聞いた話を映画化したいと思っていました。
23年前にフィリピンでの遺骨収集に参加した時の私
しかし、映画を作るだけでは届きません。日本全国に届けるという活動が必要なのです。映画館のない町は日本全国で80%あるようです。その一つ一つを回って、記録に残らなかった共同体史を共に振り返り、共同体再生を模索したいと考えています。映画『神の島』は魂を繋ぐ映画です。今、共同体の記憶が失われつつある時代にこそ、教科書には載らなかった日本人の"もうひとつの歴史"を映画という形で未来に残したいと考えています。主人公の魂を一人でも多くの方々と繋げたいと考えています。
活動理念
パブリックアーツは「平和を通して共同体の再生」をミッションに掲げて活動している団体です。
そのために、
1.人生が変わる現場作り
2.人材育成
3.普及啓発・アドボカシー
を行っていきます。
平和に関する映画を制作し、過疎地域などで上映を行い、地元の人々と交流し、
当時の話を聞き取る。また、募金活動をして、若者の遺骨収集への参加を促す。
2025/05/03更新
現在、地域にあった共同体の意識が薄くなり、平和への意識の共有が薄れています。
■ 現状の主な問題点
1. 戦争体験の風化と世代間の断絶
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戦争を体験した世代が高齢化・逝去しており、直接的な証言が減少。
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若い世代との間に「共通の記憶」や「共有すべき痛み」が薄れ、平和の実感や価値が伝わりにくくなっている。
2. 地域共同体の崩壊と孤立化
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都市化や過疎化の進行により、地縁・血縁に基づいた地域共同体が機能しにくくなっている。
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「顔の見えるつながり」が希薄になり、平和教育や記憶の継承が個人任せ・教育機関任せになりがち。
3. 情報の分断と価値観の対立
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SNSなどの発達により、自分に都合の良い情報だけを受け取る「フィルターバブル」や「エコーチェンバー」が強化。
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異なる価値観や歴史認識の共有が難しくなり、「平和の定義」すら一致しないことも。
4. 「平和=当たり前」という感覚
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日本を含む平和国家では「平和」は既得権として扱われ、危機感や能動的な平和構築の意識が希薄。
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過去の戦争や紛争を「歴史の出来事」として処理し、現在進行形の平和の危機を自分事として捉えにくい。
5. 国際情勢との乖離
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ウクライナや中東などでの戦争・暴力の継続が、「遠い世界の話」として捉えられがち。
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国際的な平和の取り組み(難民支援、核廃絶など)に対する市民の関心や関与が限定的。
2025/05/03更新
■ 原因1:記憶と経験の断絶
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戦争の記憶の風化
戦後80年近くが経ち、戦争体験者が減少するなか、平和の大切さを「実感として」語る人が少なくなっています。
→ 平和の尊さが"知識"では伝わっても、"実感"として継承されにくい。
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世代間の感覚のギャップ
戦争を知る世代と、それを知らない若者たちの間に感覚の断絶があり、「なぜ平和を守る必要があるのか」が共通認識にならない。
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■ 原因2:地域共同体の弱体化
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都市化・核家族化の進行
かつての農村共同体のような密接な人間関係が崩れ、地縁・血縁による支え合いが減少。
→ 「共に生きる」経験が失われ、他者とのつながりが薄れる。
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過疎・高齢化による地域の孤立
地方では人口減少により共同体そのものが消滅しつつあり、集まって何かを共有する機会が極端に減っている。
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■ 原因3:個人主義と競争社会の影響
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「自分だけの幸せ」志向の強化
経済競争や成果主義により、「他者とともに幸せになる」よりも「自分が生き残る」ことが優先されがち。
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他者への無関心と孤独感の増大
社会的分断が進み、「誰かの痛み」を自分の問題と感じにくい構造が広がっている。
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■ 原因4:メディアと情報環境の変化
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分断を助長する情報環境
SNSやネットメディアは、自分と似た意見ばかりに触れる傾向を強め、異なる立場や歴史観と出会う機会を減少させる。
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感情を消費するメディア構造
平和や戦争の話も「感動」や「恐怖」として一過性に消費され、深く向き合うことが困難に。
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■ 原因5:制度・教育の限界
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平和教育の形式化・一律化
学校での平和教育が形式的になり、個人や地域の体験に根差した「自分事」としての学びに乏しい。
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公的制度の対応不足
災害や紛争など社会の分断に対応する仕組みはあるものの、「つながりの再構築」までを支援する制度は脆弱。
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2025/05/03更新
■ 「平和を通して、共同体の結びつきを再構築する」ための解決策
① 記憶の共有と語りの場の創出
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戦争体験の継承プロジェクトの推進
→ 戦争体験者の証言を映像・演劇・音声で記録・再演し、地域や学校、映画館で上映・上演する。
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世代を超えた対話の機会づくり
→ 高齢者と若者が語り合うワークショップや「記憶を聞く日」を地域で開催。
例:戦争体験を「孫の視点」で語り直す映像制作ワークショップなど。
② 地域文化と芸術による共感の再構築
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地元の伝統・歴史を題材にしたアートイベント
→ 地元の歴史や伝説を素材にした演劇・映画・ダンス作品を地域住民とともに制作。
→ 作品を「共同体の鏡」とし、住民が誇りや共感を再認識する場を創出。
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記憶と風景を結ぶ巡回型上映・展示
→ 映画や写真、絵画などの作品を持って地域を訪問し、「記憶と人」を繋げる移動型の文化活動。
例:映画『神の島』を持って、町に語りを届ける自転車上映ツアー。
③ 「ともに生きる」ことを体験する仕掛け
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地域住民と作る共食・共住の場
→ 昔ながらの"ごはんを一緒に食べる"という行為から、分断を超える共感が生まれる。
→ 戦中・戦後の食をテーマにした地域食イベントなど。
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子ども・家族を巻き込んだ"平和体験"の設計
→ 子どもたちが祖父母と一緒に戦争遺構を訪れる体験ツアーや、平和をテーマにした共同制作活動。
④ 情報発信とメディアの再設計
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SNSや映像による共感の可視化
→ 「誰かの平和の願い」を可視化する短編動画や投稿キャンペーンを行い、広く拡散する。
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"無関心層"へのナラティブ接近
→ 若年層に響くストーリー性のあるコンテンツ(ドラマ、映画、YouTube)で"心を揺さぶる"仕組みをつくる。
⑤ 教育と制度の刷新
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地域ごとの"記憶カリキュラム"の導入
→ 画一的な平和教育ではなく、地域独自の歴史・記憶を活用した教育プログラムを整備。
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「共同体再生支援」の制度化
→ 地域の文化活動や平和活動への支援金制度、若者の地域滞在を支援する制度を創設。
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2022年06月23日
戦争体験という共同体史は残りづらい。共同体として残したくないと考える人もいるからだ。私は動物の視点だったらと考え、これまで知られてこなかった沖縄戦に動員された動物津達の写真を通して、共同体史を語る活動を那覇で行った。
団体名 |
パブリックアーツ |
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法人格 |
任意団体 |
HPのURL | https://publicarts2.com/ |
代表者 |
谷口広樹 |
設立年 |
2022年 |
Twitterアカウント | https://x.com/kaminoshima2025 |
職員数 |
5 |