特定非営活動法人ISAPH(アイサップ) International Support and Partnership for Health(ISAPH)
「かわいそう」だからじゃない
私たちが活動するラオスやマラウイは世界的にみると母親や子どもの死亡が多かったり、栄養不良が多かったりすることは事実です。経済的な豊かさも、先進国とは全く異なります。
だからと言ってそこで暮らす人々が「かわいそう」なわけでは決してありません。
私たちよりも豊かで
私たちよりも幸せで
私たちよりも生き生きとしている
そんな一面があることも事実です。
彼らが「かわいそう」だから支援するのではなく日本もラオスもマラウイも
どこにいても、どこに生まれても「健康で暮らしたい気持ちは同じ」
その思いで、それぞれの国の人と学び合い、お互いの良いパートナーとなるために活動しています。
"健康"を自分のものに
途上国では、社会制度やインフラも十分ではありません。
だからといって、住民が自分の健康を守るために何もできないわけではありません。
日本にいても、自分の健康に気を配らなければ予防できたはずの病気になってしまいます。
健康について知り、関心をもち時には地域で力を合わせ少し行動を変えるだけで自分の健康をいまよりも良く出来るのは途上国でも同じです。
私たちは、ラオス・マラウイで暮らす人々が
「この国、この村で生まれたから、自分は健康でいられない」
ではなく
「自分たちの健康は自分たちで守る!」
そう思って、行動に移すことができるように病気を予防し、健康になるように
現地の人・地域が主役となった草の根活動を展開しています。
1. 開発途上国における住民主体の地域保健活動
2. 災害などの被災地に対する緊急医療援助
3. 相互の知識と経験を活かした保健人材育成
2005年
対象地域の1地域は出生児76人中24人死亡という、異常に高い死亡率でした。様々な調査を行い、この原因をビタミンB1欠乏による小児脚気であると特定しました。栄養摂取の向上により、低体重児の低減と栄養不良による乳児死亡の低減に取り組んだ結果、開始当初23%もあった乳児の低体重児率が8%にまで減少し、ビタミンB1欠乏症による乳児死亡が殆ど無くなりました。
この成果を通して、ラオス政府とISAPHの間に厚い信頼関係が生まれ、他地域への母子保健の医療向上を求められ、2016年4月より現在のサイブートン郡において活動をしています。
2016年
私たちの活動している地域の住民は、サイブートン郡保健局・病院、ヘルスセンターの職員が村に訪れておこなっているアウトリーチ活動(産前健診/産後健診、予防接種、成長モニタリング、家族計画、健康教育等)や施設分娩等の保健医療サービスを利用している割合が少ない傾向にあります。その結果、住民が正しい知識を持ち、適切に行動することができれば避けられる病気にも罹っている現状があるのです。例えば、乳児死亡率の高い原因としてあげられる新生児期の死亡、肺炎、下痢などは、予防できれば避けられるとされています。ISAPHは、保健医療サービスを利用することによって得られる機会の損失を埋めるため以下のことに取り組む予定です。
・母と子が母子保健サービスにアクセスする際の障害要因を明らかにし、できる限り障害要因を軽減する
・母と子が母子保健サービスを受療することで得られる価値(ベネフィット)や効用(心理的な満足感)を高める
・サイブートン郡の住民と保健局・病院のスタッフとの間に信頼関係を築く
上記の戦略の下、住民が健康について自ら考え行動し、必要な時に保健医療サービスを利用できるように支援したいと考えています。
2016年
➀栄養バランスを考慮した食生活
ISAPHが活動している農村部では、子どもたちの低栄養の問題があります。その原因は、子どもたちにどの時期に何を与えたらいいのか、または与えてはいけないのかといった栄養に関する基本的な知識が住民に行き渡っていないことです。その結果、栄養バランスに気をつけた食生活をすれば予防できるはずの病気(下痢、肺炎等)に罹っている現状があるのです。
住民の生活習慣を変えるためには、知識を一方的に伝えるだけでは意味がなく、子どもたちの栄養状態に関心を持ち、行動を変えることが大切です。そのためには、適切なタイミングで適切な食材を手に入れる環境とともに、母親(養育者)が健康的な食生活を身につけることが欠かせません。
②必要な栄養素を含んだ食品にアクセスする。
ISAPHの母子保健活動により住民が栄養の大切さを認識できたことで、子どもたちに良質なたんぱく質や不足している脂質などを補う食べ物を食べさせたいという考えになっても、適切な食品に適切なタイミングでアクセスできない問題があります。このボトルネックを解消する手立てとして、住民の生活に目を向けたところ、ラオスの昆虫食文化と村落開発基金に解決の糸口を見出しました。住民が、食用昆虫の養殖技術を身につけ自ら育てて食し、年間を通して必要な栄養素を摂取し続けることができます。
また、村落開発基金により得た現金収入を利用することで、適切な食品を購入することが可能となります。誰もが健康になりたいという健康希求行動を促進させ、栄養状態の改善を目指します。
2018年
ISAPHは現在、2018年5月から3年半の予定で、5歳児未満の子どもとその保護者、それに妊婦を対象とした栄養改善プロジェクト (JICA草の根技術協力事業)を実施しています。マラウイ保健省は、村の中で近隣の家庭が集まりグループを作る"ケアグループモデル"というアプローチを推進しています。ISAPHの活動は、パートナーである県病院やヘルスセンターのスタッフと一緒にこのアプローチを支援する事です。
ケアグループを通じて栄養・保健指導を実施することに加えて、グループで運営するコミュニティ菜園 を指導し、不足している栄養素を補える作物を栽培する指導を行なっています。
例えば大豆や落花生などの豆類はタンパク質として子どもの発育にはとても大切です。ニンジンなど一部のビタミン豊富な野菜も、農村では手に入らないので導入しています。加えて、卵はほとんどの必要な栄養素を含む優れた食材ですが、卵の値段は村で生活する人には非常に高価な食材です。そこで、ISAPHは地域の農業普及局と協力してグループに鶏の飼育方法を指導し、各グループが飼育しています。
2018年
ISAPHはムジンバ県南部全域を対象として、地域の診療所に勤務する保健ワーカーのための「住居建設」を支援しています。地域の保健ワーカーはその地域に住む母子の診療に24時間対応する役割がありますが、実際には住居がないため各地域の担当者は診療所まで長い道のりを出勤する必要があり、そのため24時間対応はできず、緊急時に住民が訪れても医療が受けられない状況があります。ISAPHが支援した住居によって、住民からは「診療所にいつでも医療従事者がいるから安心」という声を聞くことができています。
団体名 |
特定非営活動法人ISAPH(アイサップ) International Support and Partnership for Health(ISAPH) |
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法人格 |
NPO法人 |
HPのURL | https://isaph.jp/ |
代表者 |
理事長 小早川 隆敏 東京女子医科大学名誉教授 |
設立年 |
2004年 |
Twitterアカウント | @isaph_npo |
FacebookページのURL | https://www.facebook.com/npo.isaph/ |