【学生スタッフインタビュー】同じ志を持つ仲間と共に、社会課題に向き合う経験は一生ものになる
皆さんこんにちは、学生採用インターンの坂佐井です。
今回は2020年夏プログラムからボランティア教師として関わり、再採用教師(LFAの継続ボランティア教師)を経験の後、現在は教室運営スタッフとしてLearning for All (以下、LFA)に参加している渡部一樹さんにインタビューを行いました。
LFAに参加する前は「“ボランティア”という言葉を聞くと、人のために何か大きなことをしなければならないのでは、と足を踏み入れることに躊躇していた1人でした」と語る渡部さんが活動を通してどのようなことを感じたのか、その声をお聞きください。
目次
LFAに参加した理由を教えてください
「貧困」問題と向き合いそれを解決する力になりたいと思っていたためです。
僕がこのような思いを持つに至ったきっかけは、2019年の夏休みに大学が主催するワークショップに参加した時のことです。
そのワークショップのテーマは「日本の貧困を解決する」というものでした。
当時「子どもの貧困」を解決するための政策提言を行う上で、基礎知識やその背景を知る必要があることから、文献調査や専門家、NPO団体への取材を行いました。そのNPO団体の取材先が、Learning for Allの学習支援と居場所支援の現場でした。
教師と仲睦まじく会話をしている子どもたち、授業の時間になると教師の話を聴いて一生懸命勉強している姿、教師からの賞賛に対して満面の笑みを浮かべている子どもたちの様子を見て、僕の抱いていた「貧困」が持つイメージとの違いに驚きました。
それと同時に、子どもたちを本気で応援してくれる大人の存在の重要性にも気づきました。
僕もその一人として、子どもたちに明るい未来を届けたいという強い想いを抱いたことが、LFAの活動に参加した背景になります。
そして、大学でのワークショップを通じて学んだことを学習支援の現場で生かし、「子どもの貧困」に対する理解をより深めていきたいと考えています。
渡部さんはLFAの活動を継続されていると伺っています。活動を継続している理由があればお聞かせください。
理由としては主に2点あります。
まず1点目はマクロな視点とミクロな視点の両輪で「子どもの貧困」を改めて考えてみたいためです。
再採用教師(LFAの継続ボランティア教師)として活動していく中で、僕は「チームで子どもたちを支えることの大切さ」に気づきました。そして、「チーム」として活動する上で必要になる要素として、僕は”マクロな視点”と”ミクロな視点”の両者であると考えていました。
各々の理想となるチーム像を尊重しつつ(=ミクロな視点)、それらをできるだけ多く「チーム」に反映できるようにチームビルディングに貢献する(=マクロな視点)、というのが僕の目指すチーム像です。
また、子どもと関わり続けていく中でも、これらの視点は重要な要素になるのではないかと考えるようになりました。
実際、ボランティア教師として半年以上担当する子ども1人だけを見ると、その子どもが持つ肯定的な気持ち・意図やその子どもの背景を正確に捉えることができるようになりました(=ミクロな視点)。
それに対して、その1人の子どもから「子どもの貧困」全体に視野を広げた時に、その全体像を一般化して捉えることはできないということにも気づきました(=マクロな視点)。
子どもたちと直接関わりつつも、子どもたちの様子(=教師と子どもとの関わり、子ども同士の横のつながり)を見ることで得られる新たな視点を基に、「子どもの貧困」の本質的な様相を捉えられるようにしたいです。
活動を継続しているからこそ見える側面もあったんですね。では、2点目の理由についてもお聞かせください。
2点目の理由としては、拠点運営スタッフとして子どもとボランティア教師の長期的なサポートをしていきたいと考えているためです。
子どもが寺子屋(LFAが提供する学習支援の場)に対して求めているニーズは異なると同時に、ボランティア教師の活動参加へのモチベーションも異なるということをこれまでの活動を通して知りました。
例えば、僕が参加していた拠点には、受験に向けて教科学習を頑張っている子どもはもちろん、折り紙や粘土を使った工作物を通して自分の好きなことを表現している子ども、さらには他のボランティア教師や子どもたちと「遊ぶ」ことで安心感を求めている子どもなど、様々です。
また、”教育”だけではなく、”子どもの貧困”や”SDGs”、”世界の諸問題”など、多方面に関心を持っている大学生がLFAの活動に参加しています。
このように様々な背景を持つ人がいるからこそ、子ども、そしてボランティア教師のことをしっかりと把握し、それらを結び付けてサポートすることが大切であると実感しました。
そのためには、子どもやボランティア教師とコミュニケーションを密に取ることが大切になると考えています。自分だけではなく、子どもにとってもボランティア教師にとっても充実した、そして達成感を得られるような経験を届けたいです。
LFAに参加する前と後で一番変わったのはどのようなところですか?
子どもと接する時に、常に子ども目線に立って考えるようになったことだと思います。
LFAでは目標を設定したり振り返りをしたりする時に、「子ども主語」で考えることを大切にしています。
また子どもと実際に接する場面では、子どもが発言してくれたことに対して、ただそれを受け入れるのではなく、なぜそのように考えているのか、その意見の背景にある感情や価値観まで深ぼって聞くことを意識するようになりました。
”意見”という表面的な部分では理解し難いことでも、「対話」を通じて深層的な部分について知ることができ、子どもに対する理解をより深めることができます。子どもの発言を多く拾うことで、適切な振り返りをすることができますし、その振り返りを踏まえて次の指導で何を目標にすべきか考えることも可能です。
「自分が~~と思うから、子どもにも~~なってほしい」とするのではなく、「子どもが~~と発言しているから、~~なってほしい」というように、子ども起点で考えられるようになった点が、LFAに参加したことで変わったことであると感じています。
担当していた子どもについて教えてください
中学3年生(現:高校1年生)の男の子です。小学校高学年から不登校で、学習遅滞を大きく抱えていました。
それ故に、自己肯定感が低く、自分の意見や考えを言語化して説明することを苦手としていました。
一方で、自転車に乗って出かけたり友達と一緒にゲームをしたりなど、自分の好きなことに没頭して取り組むことができる点や、それらのことについてボランティア教師に丁寧に話してくれる点が、彼の良さであると認識しています。
また、LFAが運営している居場所支援の現場にいつも顔を出し、他の中学生や高校生と一緒に楽しく過ごしていることも多かったです。
担当していた子どもに対してどのような対応をしていましたか?
具体的に僕が行っていたアクションについてお話しします。
まず行っていたことの一つとして、子どもの良いところやできていることを理由とセットで伝え、賞賛することを意識していました。
学習遅滞を大きく抱えている点や自己肯定感が低い点といった課題を克服するために、自己有用感や自己肯定感を高めることが大切であると考えていました。
指導日の中で素敵だと感じたことや以前と比べてできるようになったことなど、短期的な視点と中長期的な視点で賞賛することを意識していました。
その結果、自分から勉強したいという前向きな姿勢を示してくれるようになり、自信を持って学習に取り組んでくれるようになりました。
また他には、教科学習だけではなく、子どもの自主性を重んじた活動(海の景色に関する新聞制作・バイクをテーマにしたプレゼンテーション)を展開していました。
自分の好きなことに熱中できる彼の良さを引き出すために、自分の好きなことを調べて作品にしたり、それらを他の子どもたちやボランティア教師に発信して自分の想いを伝えたりする活動を実施しました。
学校に通えていない期間が長く、様々な背景を持つ人と関わる経験が少ないため、「人と関わること」の大切さや多様な価値観を持つ人がいるということに気づいてもらうこともできたと感じています。
LFA内で出会ったボランティア教師たちとの思い出について教えてください
2020年秋プログラムにて実施していた「あんしんdocs」という取り組みです。
こちらは、担当する子どもや担当教師という枠組みを越えて気軽にコミュニケーションを取れる空間を作ろうという目的で始めたものになります。
上述したように、チームで子どもを支えたり安心空間を形成したりする上で、担当する子ども以外との関わりも大切になってきます。
しかし、子どもの基礎情報や接し方が分からないがために、積極的に交流することができないという課題がありました。
そこで、同じ拠点ボランティア教師がこの取り組みを提案したことで、寺子屋に通ってきてくれる子どもたちのことについて知るきっかけになりました。
子どもたちにとっても多様なバックグラウンドを持つ大人と接することで、人生における多様な選択肢について気づくきっかけになったのではないかと考えています。
このように、チームで悩み、考え、そして実行していくことができる点がLFAの良さであるとも実感しました。
最後に、参加を迷っている学生に一言お願いします!
一言で言うと、是非小さな一歩を踏み出してみてください!ということです。
“ボランティア”という言葉を聞くと、人のために何か大きなことをしなければならないのでは、と足を踏み入れることに躊躇ってしまう方もいるかと思います。僕自身もその一人でした。
もちろん大きなアクションを起こすことも大切ですが、それ以上に”子どもたちのために”という強い想いを持って小さな一歩を踏み出すことにも大きな価値があると感じています。
LFAは、子どもたちのあるべき姿を実現するためにチームで考え、実践し、そして達成感を共有することができる素晴らしい団体であると思います。そして、同じ志を持つ仲間と共に、社会課題に向き合う経験は一生ものになると確信しています。
新しいことに足を踏み込むことで得られる”学び”はたくさんありますが、何もしなければ得られるものは何もありません。
LFAの活動に参加して気づいたことは、経験から学び、それを次に活かすことが大切であるということです。少しでもLFAの活動に興味をお持ちの方は、HPでLFAの活動を見たり相談会に参加して話を聴いてみたりしてほしいです。
皆さんと一緒に活動できることを心よりお待ちしております!
活動に参加してみませんか?
特定非営利活動法人Learning for Allの法人活動理念
Learning for Allは「子どもの貧困に、本質的解決を。」をミッションに掲げて活動しているNPO法人です。
そのために、
1.子どもの人生が変わる現場作り
2.人材育成
3.普及啓発・アドボカシー
を行っていきます。