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2022/11/18

【学生スタッフインタビュー】子どもたちの自己変容の力を信じる

LFAに参加した理由を教えてください。

「教育格差是正に関するヒントを得たい」という理由からLFAのプログラムに参加することを決めました。

私は地方出身ということもあり、自分の身近なところで子どもの貧困や教育格差の問題を目の当たりにしてきましたし、自分自身がそういった問題の当事者になるという経験もしてきました。
周囲から「女の子は大学に行かなくて良い」といった言葉を投げかけられること、地方在住であることが教育選択においてネックになることも多くありました。
そういったことを経験した際に抱いたのが「性別や出身といった属性によって学びが制限されること」への違和感です。

そこで、高校時代「教育格差や子どもの貧困の問題に対して何かできないか」と考え行ったのが、学習支援の企画・運営、県外の小学校との遠隔授業等といった活動です。しかし、一人で出来ることは限られており、当時はあらゆる壁にぶつかりました。
LFAには子どもの貧困・教育格差の解決という同じ志を持った仲間が沢山いるので、彼ら彼女らと協働することを通して、教育格差問題と向き合っていく上での新たなヒントを得たいと考えました。

ボランティア教師を経験して、そこからなぜインターンになろうと思ったんですか?

私がボランティア教師としてプログラムに参加した後、インターンとして活動した理由は大きく3つあります。

まず1つ目は「より長い期間、より多くの子どもたちと関わり続けたい」という理由です。
LFAのプログラムに参加する前から、一口に「子どもの貧困」と言っても、その背景にある課題感やアプローチの方法は全く異なるということを、知識としては知っていました。しかし、実際に多くの子どもたちと関わって、そのことがよりリアルになりました。より長い期間、より多くの子どもと関わることで、様々な子どもの貧困のケースを知り、受け止め、適切なアプローチを考えたいと思いました。

2つ目は「もう1段階高い視座から子どもの貧困を考えたい」という理由です。
現場のインターンになると、自分の担当している子どもだけでなく、実際に子どもに指導をしてくれるボランティア教師のことやLFAに関わる多数のステークホルダーのこと等、考えるべき幅もぐんと広がります。そういったあらゆる観点を考慮しながらLFAに関わることは、子どもの貧困問題のより深い理解にもつながると思いました。

3つ目は「子どもたちが変わる瞬間を見届けたい」という理由です。
LFAのプログラムは、約2ヶ月間と短い期間ですが、その短い期間でも子どもたちは少しずつ成長を遂げています。そういった姿を目の当たりにした際、私は「子どもたちの持っている自己変容の力」の大きさを知ったと同時に、子どもたち自身の「変わりたい」という意思を子どもたちの側でサポートし続けたいという思いがより一層強くなりました。

どのような子どもと関わったのでしょうか?

私がボランティア教師のときに担当したのは、当時中学2年生の男の子でした。

何事にも真面目に誠実に向き合ってくれる男の子です。怪我をした子を見かけたら一番に駆け寄る、教師やスタッフに対して丁寧に接してくれるなど、相手の気持ちを考えながら行動してくれる優しく素敵な姿も多く見られました。

しかし、自分自身の能力・頑張りを正当に評価することができないという課題を抱えていました。
この課題の背景には、不登校の時期があったこと、それによって学習遅滞を抱えていることがあるのではないかと考えていました。

その課題に対してどのようなアクションをしたんですか?

この課題を解決するために必要なのは、彼自身が「できた」「できるようになった」という感覚を持つことだと考えました。そして、それを実現するため、大きく2つの打ち手を取りました。

まず1つ目が、確実な学力の向上です。
前述したように、彼が抱えている課題の背景には、彼が不登校によって学習遅滞を抱えていること、そして彼自身がそのことを失敗体験として捉えていることがあるのではないかと考えました。そこで、確実な学力・スキルの向上を可能にするため、間違った問題とその傾向を記録する「ミスストックノート」というものを作成し、「できる」を確実に一つ一つ増やしていくということを行いました。

2つ目が、自分自身の能力・頑張りを客観的に評価する仕組みを作るということです。
「目標設定・振り返りシート」というワークシートを作成し、指導の前に具体的な目標を設定、指導後にその目標を数値で振り返るということを毎週行っていました。その際、教師から彼の「できていたこと」を客観的な視点を持って伝えるということを意識して行っていました。

毎回の指導で小さな成功体験を積み重ねること、そしてその成功体験を他者から認めてもらうことが、彼の自信につながると考えました。

試行錯誤をし、行動を起こされたんですね。その結果子どもに変化はあったのでしょうか?

プログラムの序盤では、やはり自分自身の能力・頑張りを正当に評価することができないという様子が見られました。実際、プログラム序盤の指導で「符号ミス」をしないという目標を彼が立ててくれて、実際符号ミスは0だったにも関わらず、本人はその達成度を70%と答えるということがありました。

しかし、指導を重ねていくうちに、目標の達成度を自信を持って正当に100%と評価する様子も時折見られるようになり、「自分の能力・頑張りを自分自身で正当に評価、認めることができない」というプログラム序盤の様子からは想像できなかった大きな変化を見ることができました。
彼が目標の達成度を100%と評価した時に見せてくれた、どこか満足げな表情は私の中でとても印象に残っています。そしてそれは、「子どもたちの自己変容の力を信じる」という私が大切にしている価値観を形成した大切な瞬間であったと思っています。

LFAに参加する前と後でご自身にどのような変化がありましたか?

LFAに参加する前と後で子どもの貧困を捉える視点がマクロからミクロへと変わったことが一番大きな変化だと思います。
LFAに参加する前は子どもの貧困について、理論を重視してマクロに考えることが多かったように思います。それは、私自身が子どもの貧困の当事者として、自分の不自由を一般化する必要があったからだと思います。LFAに関わり始めた当初も、やはり理論に囚われてしまうことが多く、目の前の子どもを理論で捉える、一般化するといったように、ある一つの型にはめ込んでしまうことが多くありました。

しかし、LFAの活動を通して子どもたちと関わっていくうちに、一言に「子どもの貧困の当事者」と言っても、彼ら彼女らがそこに至るまでの物語も、また彼ら彼女らがこれから生きていくことになる物語も一人一人全く異なるということに気づきました。
そして、その一人一人の物語を無視することがいかに暴力性を孕んでいるのか、またリスクになり得るのかということに気づきました。

このマクロからミクロへの視点の変化は、現場で様々な子どもと関わることができる、また一人一人の子どものことを真剣に考えることができるLFAのプログラムだからこそ、得られたものだと思っています。

LFAの他に行っている活動などはありましたか?

LFAのプログラムと並行して、週3で塾講師のアルバイトをしていました。
大学の授業、アルバイトとして行っている塾講師の授業準備などと並行して、LFAの活動に取り組むことは、客観的に捉えると決して容易なことではなかったと思います。

しかし、タスクマネジメントや指導準備の方法について学ぶ機会があったり、メンターがボランティア教師一人一人についてくれる制度があったり、活動に取り組むためのサポート環境がとても整っていたので、両立という点に関して、当時不安はあまり抱いていなかったように思います。

最後に、参加を迷っている学生に一言お願いします!

ボランティア・インターンと聞くと、敷居が高いように感じられてしまうかもしれませんが、LFAのプログラムは、子どもたちにとってはもちろん、ボランティア・スタッフとして子どもたちに関わる私たちにとっても、非常に有意義なものであると強く感じていますし、それだけチャレンジしてみる価値があると思っています!!
皆さんが最初の一歩を踏み出し「子どもの貧困」問題に一緒に取り組む仲間になってくれることを心待ちにしています!

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特定非営利活動法人Learning for All

特定非営利活動法人Learning for Allの法人活動理念

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3.普及啓発・アドボカシー

を行っていきます。