
ボランティア募集を見ていると、「有償ボランティア」や「謝礼あり」と書かれた活動が見つかることがあります。お金を受け取るならアルバイトと同じなのか、交通費が支給されるだけでも有償になるのか、疑問に感じる方もいるでしょう。
有償ボランティアとは、一般に、活動に対して謝礼などが支給されるボランティアを指すことがあります。ただし、「有償ボランティア」「謝礼」といった名称だけで、雇用関係の有無や支給される金銭の性質が決まるわけではありません。
契約の有無、指示の受け方、日時や場所がどの程度指定されるか、参加を断ったり休んだりできるかなど、募集内容と活動条件を確認することが大切です。労働者に該当するかどうかについても、契約の形式や名称だけではなく、複数の事情と実際の働き方を踏まえて総合的に判断されます。
(参考元:厚生労働省「労働基準法における労働者性判断に係る参考資料集」)
この記事では、有償ボランティアと無償ボランティア、アルバイト、プロボノとの違いを整理し、募集ページで確認しておきたいポイントを解説します。
ボランティアへの参加を検討しており、活動の選び方や応募までの流れをまとめて知りたい方は、「ボランティアの始め方」もあわせてご覧ください。
有償ボランティアは、社会貢献活動への参加に対して、謝礼などの金銭が支給される活動を指すことがあります。
ただし、有償ボランティアに共通する金額や契約条件が、統一的に定められているわけではありません。「謝礼あり」と記載されていても、金額、支給条件、支給時期は募集によって異なります。
また、交通費や材料費など、活動のために実際にかかった費用を補う「実費弁済」は、一般的なボランティアでも行われます。交通費や実費が支給されることだけを理由に、必ず有償ボランティアになるわけではありません。
activoの募集では、参加費や費用に関する項目に、次のような表記が見られます。
交通費・実費の支給と、活動に対する謝礼は分けて確認しましょう。金額や条件が分からない場合は、実際に参加する前までに団体へ確認して構いません。
有償ボランティア、無償ボランティア、プロボノ、アルバイトは、すべてが同じ基準で分けられる言葉ではありません。
有償・無償は、主に金銭の支給や性質に関する区分です。プロボノは、仕事などで培った専門性を活かす活動を表します。アルバイトは、雇用契約に基づいて働き、労働の対価として賃金を得る働き方です。
これらは互いに完全に排他的な区分ではなく、法的な分類を示す表でもありません。たとえば、プロボノには無償の活動も有償の活動もあります。以下は、一般的な傾向を整理した早見表です。
| 比較項目 | 有償ボランティア | 無償ボランティア | プロボノ | アルバイト |
|---|---|---|---|---|
| 主な特徴 | 社会貢献活動への参加に対し、謝礼などが支給される場合がある | 金銭の支給を原則としない社会貢献活動 | 職業上の経験やスキルを社会課題の解決に活かす | 雇用契約に基づいて働き、労働の対価として賃金を得る |
| 金銭 | 謝礼など。内容は募集によって異なる | 原則なし。ただし実費支給の場合がある | 無償・実費支給・有償など活動によって異なる | 賃金 |
| 専門スキル | 必須とは限らない | 必須とは限らない | 専門性の活用が中心 | 仕事内容による |
| 雇用・契約関係 | 名称だけでは判断できず、契約や活動条件を確認する | 一般には雇用契約を前提としない | 活動によって異なる | 雇用契約に基づく |
| 主な確認事項 | 契約、役割、参加条件、謝礼 | 費用負担、役割、参加条件 | 役割、期間、成果物、金銭条件 | 賃金、勤務時間、仕事内容、雇用条件 |
有償・無償は主に金銭面、プロボノは専門性、アルバイトは雇用契約という、異なる軸の言葉です。
一般には、謝礼などの金銭が支給されるかどうかによって、有償・無償と案内されることがあります。ただし、統一された線引きがあるわけではありません。
無償ボランティアでも、交通費や材料費などの実費が支給される場合があります。そのため、「少しでもお金が支給されるなら有償」とは限りません。
何に対して、どのような条件で金銭が支給されるのかを確認しましょう。
アルバイトは、雇用契約に基づいて働き、労働の対価として賃金を得る働き方です。
一方、募集に「有償ボランティア」と書かれていることだけで、雇用関係がないと判断することはできません。社会貢献を目的としていることや、参加者本人がボランティアだと考えていることだけで、雇用関係の有無が決まるわけでもありません。
厚生労働省の「労働基準法研究会報告(労働基準法の『労働者』の判断基準について)」では、労働者に該当するかどうかを、指揮監督下での労働か、報酬が労務の対価かという点を中心に判断するとしています。仕事の依頼を断る自由や勤務場所・時間の指定なども含め、一つの項目だけではなく、複数の事情から総合的に判断されます。
(参考元:厚生労働省「労働基準法研究会報告(労働基準法の『労働者』の判断基準について)」)
あなた自身が法的な判定をする必要はありません。募集内容を理解するための確認材料として捉え、不明な点があれば団体へ尋ねましょう。
プロボノは、社会的・公共的な目的のために、職業上の経験やスキルを活かして取り組む社会貢献活動です。金銭の有無ではなく、専門性を活用する点に特徴があります。
(参考元:サービスグラント「プロボノとは?」)
たとえば、広報、マーケティング、デザイン、IT、経理、人事などの経験を活かし、団体の活動を支援するケースがあります。
プロボノには、無償、実費支給、有償など、さまざまな形があります。そのため、プロボノと有償ボランティアは、どちらか一方に分けられる言葉ではありません。
募集では、交通費、実費、謝礼、賃金など、複数の言葉が使われます。それぞれの一般的な意味を理解したうえで、実際の支給条件を確認しましょう。
実費弁済とは、交通費、材料費、宿泊費など、活動のために実際にかかった費用を補うことです。
一般的な無償ボランティアでも、参加者の持ち出しを抑えるために実費が支給される場合があります。実費が支給されるだけで、有償ボランティアになるとは限りません。
募集を見るときは、次の点を確認すると分かりやすくなります。
謝礼は、活動への感謝や負担を補う目的で支給されることがあります。
「謝礼あり」と書かれている場合は、金額、支給条件、支給時期を確認しましょう。
なお、「謝礼」という名称だけで、源泉徴収の要否が一律に決まるわけではありません。国税庁は、源泉徴収が必要となる報酬・料金等の範囲を、支払内容や受取人の区分に応じて案内しています。また、謝礼、研究費、取材費、車代などの名目でも、実態が対象となる報酬・料金等と同じであれば、源泉徴収の対象になるとしています。
参考元:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」)
源泉徴収は、支払時に所得税等を差し引く仕組みに関する論点です。最終的に税金がかかるか、確定申告が必要かとは分けて考える必要があります。
賃金は、雇用契約に基づいて働いたことへの対価として、使用者から労働者へ支払われる金銭です。
アルバイトやパートとして働く場合は、賃金、労働時間、仕事内容などの労働条件を確認します。募集内容が分かりにくい場合は、雇用契約を結ぶのか、労働条件がどのように示されるのかを募集団体へ尋ねましょう。
専門的なスキルを活かす活動の中には、ボランティアやプロボノではなく、業務委託契約として募集されるものもあります。
業務委託では、特定の業務や成果物に対して報酬が支払われます。雇用契約とは異なる契約形態ですが、労働者に該当するかどうかは、契約の名称だけではなく、実際の働き方も踏まえて判断されます。
(参考元:厚生労働省「労働基準法における労働者性判断に係る参考資料集」)
有償ボランティアへの参加を考えるときは、次の5点を確認しておくと、募集内容を理解しやすくなります。
これらは、読者自身が法的な契約区分を判定するためのチェックリストではありません。不明点を団体へ質問するための確認項目です。
まず、どのような形で募集されているかを確認します。
activoでは、有償ボランティアの募集を探せます。募集形態や契約条件は個別に異なるため、カテゴリ名だけでなく、各募集ページの記載を確認してください。
次に、具体的な活動内容と役割を確認します。
募集の説明だけでは参加後の役割を想像しにくい場合は、団体へ質問して構いません。
活動日時や場所が、自分の生活と無理なく両立できるかも重要です。
有償かどうかだけでなく、無理なく参加できる条件かを確認しましょう。
activoでは、募集ページの参加費や費用に関する項目に、交通費支給、交通費一部支給、実費支給、謝礼ありなどと記載される場合があります。
表記があっても、対象となる費用、金額、上限、支給条件は募集によって異なります。必要に応じて、次の点を確認します。
活動を始める前に、任される責任の範囲も確認しておきましょう。
すべてが募集ページに書かれているとは限りません。参加判断に関わる点が分からない場合は、応募後であっても、実際に参加する前までに団体へ確認して構いません。
有償ボランティアでは、謝礼によって参加に伴う負担を一部補える場合があります。
定期的に活動場所へ通う場合などは、継続参加に伴う経済的なハードルが下がることもあります。実費支給や謝礼のある募集も含めて探すことで、自分の費用負担や参加頻度に合う活動を比較できます。
ただし、有償だから無償より責任が重い、貢献度が高い、募集の質が高いというわけではありません。活動の価値や責任は、金銭の有無だけでは決まりません。
有償ボランティアを選ぶ際は、次の3点を意識しましょう。
やりたい活動か、無理なく参加できる日時や頻度か、謝礼の条件に納得できるかを確認することが大切です。
有償ボランティア、無償ボランティア、プロボノ、アルバイトのどれが適しているかは、参加する目的によって変わります。
有償ボランティアの募集を確認しましょう。
謝礼の有無だけでなく、活動内容、日時、役割、支給条件も確認することが大切です。
一般的なボランティア募集を含めて、興味のある活動を探しましょう。
交通費や材料費などの負担が気になる場合は、各募集ページの費用に関する項目を確認します。
プロボノが選択肢になります。
プロボノにも無償・有償などさまざまな形があるため、活動内容、役割、期間、金銭条件を確認しましょう。
収入を得て働くことを中心に考える場合は、アルバイトやパートの方が目的に合うことがあります。
activoでも、アルバイトとパートの求人をそれぞれ探せます。
謝礼などの金銭が支給される場合があります。
一方、交通費や材料費などの実費弁済だけなら、一般的なボランティアとして整理されることもあります。労働の対価として賃金を受け取る場合は、雇用に当たる可能性があります。
具体的な金額や支給条件、契約上の位置づけを募集ページで確認しましょう。
一律には判断できません。
「副業」という言葉の扱いは、勤務先の就業規則、税務上の扱い、契約や活動の実態などによって異なります。これらが必ず同じ結論になるとは限りません。
勤務先のルールは就業規則や勤務先へ、契約条件は募集団体へ確認しましょう。
一律には判断できません。
受け取った金銭の内容、金額、他の所得との関係などによって、所得としての扱いや確定申告の要否が異なります。
また、支払時に源泉徴収されるかどうかは別の論点です。国税庁は、源泉徴収が必要となる報酬・料金等の範囲を案内していますが、源泉徴収の有無だけで最終的な税額や確定申告の要否が決まるわけではありません。
(参考元:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」)
個別の判断が必要な場合は、国税庁の相談窓口、税務署、税理士などへ確認してください。
必ずしも有償ボランティアとは限りません。
プロボノは、職業上の経験やスキルを社会的・公共的な目的のために活かす社会貢献活動です。無償、実費支給、有償など、さまざまな形があります。
金額の多い・少ないだけでは判断できません。
契約、役割、指示の受け方、日時や場所の指定、金銭の性質など、複数の事情を踏まえる必要があります。労働者に該当するかどうかも、一つの要素だけではなく、実際の働き方を総合的に見て判断されます。
(参考元:厚生労働省「労働基準法研究会報告(労働基準法の『労働者』の判断基準について)」)
読者自身で法的な判断をする必要はありません。説明だけでは分からない場合は、実際に参加する前までに団体へ確認しましょう。
有償ボランティアとは、活動に対して謝礼などが支給されるボランティアを指すことがあります。
一方、交通費や材料費などの実費弁済は、一般的な無償ボランティアでも行われます。また、プロボノは専門性の活用、アルバイトは雇用契約と賃金に関する言葉であり、すべてが同じ基準で分けられるわけではありません。
有償ボランティアを選ぶときは、次の3点を確認しましょう。
すべてを細かく比較してからでなければ、募集を見てはいけないわけではありません。まずは興味のある募集を確認し、分からない点だけを参加前に団体へ質問してみましょう。