ボランティア活動というと、地域清掃や災害支援、子どもの学習支援などを思い浮かべる人が多いでしょう。
一方で、「無償で行えばすべてボランティアなのか」「交通費を受け取ってもよいのか」「学校や会社を通じた活動も含まれるのか」など、その意味を明確に説明するのは簡単ではありません。
この記事では、公的機関や中間支援組織の情報をもとに、ボランティア活動の意味・定義と代表的な4つの原則を解説します。関連する言葉との違いや具体的な活動例、日本の参加率も紹介します。
活動の選び方や応募前の準備、参加までの流れをまとめて知りたい方は、「ボランティアの始め方」もあわせてご覧ください。

ボランティア活動とは、一般に、自分の意思に基づき、地域や社会、他者に関わり、金銭的な報酬を主な目的とせず行う活動です。
全国社会福祉協議会は、ボランティア活動を「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」と説明しています。また、東京ボランティア・市民活動センターは、「自主性・主体性」「社会性・連帯性」「無償性・無給性」「創造性・開拓性・先駆性」という4つの原則から、ボランティア活動の特徴を整理しています。(地域福祉・ボランティア情報ネットワーク)
ボランティアは、社会や他者のためだけに自分を犠牲にする活動ではありません。厚生労働省も、活動する本人の自己実現や社会参加への意欲が満たされる側面と、地域社会に貢献する側面の両方を説明しています。(厚生労働省)
新しい経験をしたい、人とつながりたい、知識やスキルを身につけたいといった気持ちも、自然な参加のきっかけです。
強い使命感や特別な能力を持つ人だけのものではなく、自分の関心や生活に合う形で参加できる、身近な社会参加の一つです。
ボランティア活動に、すべての機関や団体が共有する唯一の定義があるわけではありません。説明や重視する特徴は、機関によって異なります。
ただし、多くの説明には、次の3つの特徴が共通しています。
一つの条件だけで厳密に判定するのではなく、これらの特徴を総合して捉えると分かりやすいでしょう。
以下では、東京ボランティア・市民活動センターが示す4つの原則をもとに、ボランティア活動の特徴を説明します。(ボランティア市民ウェブ)
これらは、個々の活動を機械的に判定するための条件ではなく、ボランティア活動の特徴を理解するための考え方です。機関によって「自主性」を「自発性」とするなど、表現が異なる場合もあります。
自主性・主体性とは、誰かに強制されるのではなく、自分の意思で活動への参加や取り組みを選ぶことです。
友人に誘われた、学校や会社で活動を知ったなど、参加のきっかけはさまざまです。学校や会社を通じた活動も広くボランティアと呼ばれますが、自主性・主体性の観点では、最終的に本人が参加を選べることが重要です。
社会性・連帯性とは、地域や社会にある課題に関心を持ち、他者と支え合いながら取り組むことです。
ボランティア活動は、誰かに一方的に何かをしてあげる行為とは限りません。活動する人、活動を受け入れる団体、支援を受ける人、地域の人などが関わり合い、協力しながら、よりよい状態を目指します。
家族の家事や友人の引っ越しを手伝うことも、自発的で大切な助け合いです。一方、一般にボランティア活動という場合は、家族や友人との私的な関係にとどまらず、地域や社会に関わる活動を指すことが多いでしょう。
近所の人の見守りなど、日常的な助け合いと地域活動を明確に区別できない場合もあります。
無償性・無給性とは、給与や個人的な利益を得ることを第一の目的としないことです。
活動によって得られるものが何もないという意味ではありません。新しい人との出会い、学び、達成感、楽しさなども、活動を通じて得られる大切なものです。
無償性は、参加に必要な費用をすべて自分で負担するという意味でもありません。交通費や食費、材料費などの実費補助は、一般に無償性と矛盾しないと考えられます。
一方、実費を超える金銭や一定の謝礼を受け取る活動が「有償ボランティア」と呼ばれることもあります。ただし、有償ボランティアの範囲や判断は、活動の制度や文脈によって異なります。厚生労働省の案内でも、有償の場合に実費弁償や少額の謝礼を伴う例が示されています。(厚生労働省)
創造性・開拓性・先駆性とは、既存の制度や仕組みだけでは十分に対応できていない課題に気づき、新しい方法や活動を生み出していく性質です。
社会には、制度が整う前から存在する課題や、行政・企業のサービスだけでは支援が届きにくい課題があります。ボランティア活動は、現場の必要性に気づいた人たちが柔軟に動き、新しい支援方法や仕組みをつくるきっかけにもなります。
ただし、すべての参加者が新しい活動を考案しなければならないわけではありません。すでに行われている清掃活動やイベント運営、学習支援などに参加することも、もちろんボランティア活動です。
ボランティアと関連する言葉には、社会貢献活動、NPO、プロボノ、寄付、有償ボランティアなどがあります。
| 言葉 | 主な意味 | ボランティアとの関係 |
|---|---|---|
| 社会貢献活動 | 社会に役立つ幅広い活動 | ボランティアを含む、より広い概念 |
| NPO | 得た利益を構成員へ分配せず、社会的な目的に取り組む民間の組織 | 有給職員やボランティアが関わる場合がある |
| プロボノ | 仕事などで培った専門知識や経験を生かす社会貢献 | 専門性を生かすボランティアの一形態とされることがある |
| 寄付 | 金銭や物品を提供する支援 | 時間や労力を提供するボランティアとは通常区別される |
| 有償ボランティア | 実費や一定の謝礼を受け取る活動 | 活動の制度や文脈によって範囲が異なる |
NPOは「利益を得てはいけない組織」という意味ではありません。事業などで得た利益を構成員へ分配せず、団体の社会的な目的のために使うことが基本です。
また、寄付は一般にボランティア活動とは区別されますが、どちらも団体や社会課題を支える大切な関わり方です。活動条件が合わない場合は、寄付や情報発信など、別の方法で支えることもできます。
ボランティア活動には、地域づくり、子ども・教育、福祉、環境保全、災害支援、国際協力、スポーツ・文化、動物保護など、幅広い分野があります。
具体的には、次のような活動があります。
参加方法も、単発・短時間、継続、現地、オンラインなどさまざまです。
多様な選択肢の中から、自分の関心やライフスタイルに合う活動を選ぶことが大切です。
内閣府が2026年4月9日に公表した、令和7年度(2025年度)「市民の社会貢献に関する実態調査」では、2024年の1年間にボランティア活動をしたことがある人は16.3%でした。
調査は全国の満20歳以上8,300人を対象として、2025年10月10日から11月30日まで実施され、有効回答数は3,773人でした。このうち、ボランティア活動をしたことがあると回答した人は615人です。
また、回答者全体に複数回答で尋ねた「ボランティア活動への参加の妨げとなる要因」では、次の回答が上位でした。
この設問の有効回答数は3,743人です。
こうした結果から、実際の参加には、活動を知る機会、生活の中で参加する時間、参加に伴う費用なども関係していることがうかがえます。
なお、参加率は調査対象や対象期間、ボランティア活動に含める範囲によって異なります。16.3%は、2024年の状況を知るための参考値として捉える必要があります。
問題ありません。新しい経験やスキル、人とのつながりを求めることも、自然な参加のきっかけです。
ただし、自分の成長だけを優先せず、団体の方針や活動に関わる人を尊重することが大切です。
学校や会社を通じた活動も、広くボランティアと呼ばれます。ただし、自主性・主体性の観点では、本人が参加を選べることが重要です。
交通費や食費、材料費など、活動に必要な実費が補助される場合もあります。
無償性は、参加者がすべての費用を自己負担するという意味ではありません。費用補助の有無や対象範囲は募集によって異なるため、参加前に募集要項を確認しましょう。
ボランティア活動とは、自分の意思に基づき、地域や社会、他者に関わり、報酬を主な目的とせず行う活動です。
強い使命感や特別な能力を持つ人だけが行うものではありません。単発・短時間、継続、現地、オンラインなど、多様な選択肢から、自分の関心や生活に合う形を選べます。
自分の意思で他者や地域、社会に関わろうとすることには、大切な価値があります。ボランティアは、日常の中で選べる身近で素敵な社会参加の一つです。
ボランティアに少しでも関心を持ったら、まずは自分が惹かれる活動があるか、実際の募集を見てみましょう。
