「誰かの変化の入り口になる」ふるさとLIFEアンバサダーとは?
ただの観光でも、移住でもない。
「自分の好奇心」を出発点に、地域と関わり、つながりを耕していく。
ふるさとLIFEゼミは、3ヶ月間のアンバサダー体験を通して、自分を知り、地域を知り、地域と自分を活かす関わりを探究する実践型のプログラムです。
今回は、このプログラムの企画者であり、これまで述べ1000人以上の地域越境に関わってきた弊社Hue-ish株式会社代表の神原に、その役割の本質や可能性について伺いました。
そもそも、「ふるさとLIFEアンバサダー」とはどんな存在なのでしょうか?
観光客でも移住者でもなく、純粋な探究心を出発点に、人と地域をつなぎ、身近な誰かの心をそっと動かす存在。それが「ふるさとLIFEアンバサダー」です。
課題を解決しようとするのではなく、ただ「気になる」「話してみたい」「もっと知りたい」。そんな素直な関心から動く姿が、気づけば誰かの一歩を後押ししている。
一度きりの出会いにとどまらず、対話を重ね、時間をかけて育む関係のなかで、都市と地域のあいだに、新しい風が通る道をつくっていく。
そんなあり方を大切にしています。
なぜ今、そんな存在が必要なのでしょう?
いま、地域も都市も、関係性のあり方が問われている時代だと思うんです。
人口減少や孤立、先が見えづらい社会の中で、自分が安心できる関係や、ふっと息の抜ける場をどれだけ持っているかは、とても大切なことだと思っています。
「ふるさとLIFEアンバサダー」がいることで、人生における“関係の多様性”が増える。そうすることで、都市と地域のあいだにもうひとつの足場ができたり、自分の中の“好き”や“役立てること”を見つけ直すきっかけにもなります。
それはきっと、何かあったときに支え合える「自分なりのセーフティネット」になるし、レジリエンスのある生き方にもつながっていくと感じています。
具体的に、アンバサダーは何をするのですか?
「これをやる人」と役割が決まっているわけではなく、むしろその人らしい関わり方を模索していくのが特徴です。
たとえば、ある人は、地域で活躍するプレーヤーさんの話を聞いてその想いに共感し、自分の言葉で紹介記事を書きました。
ある人は、何度か現地を訪れるうちに自然と友人を誘うようになり、そこから新しい人の流れが生まれていきました。
またある人は、子育てや転職などライフステージが変わっても、年単位で地域との関係を続け、今では第二のふるさとのように通っています。
共通しているのは、「自分が感じたことを、半径2mの大切な人たちと分かち合いたい」という想い。
何かを広めよう、変えようと意気込むのではなく、自分の好奇心や好きという気持ちに素直に動いた結果、その姿に触れた身近な誰かが「ちょっと面白そう」と一歩踏み出してくれる。
そんなふうに、小さな行動が、関係の連鎖を生み出していくのがアンバサダーのあり方です。
アンバサダーには、どんな人が向いていると思いますか?
一言でいえば、「信頼関係を育める人」だと思います。
信頼は、一朝一夕に“つくる”ものではなく、関わりの積み重ねの中で、少しずつ“育っていく”ものです。だからこそ、まず大切なのは、目の前の相手に心からの関心や好意を向けられるかどうかだと思っています。
相手がどんな背景を持っていても、どんな考え方をしていても、その存在そのものをまるごと尊重すること。「何かを変えよう」「課題を見つけよう」とするのではなく、その人の魅力や大切にしているものに素直に向き合い、リスペクトをもって関われるか。
また、目先の成果やメリットではなく、「この出会いを、次につなげていきたい」という恩送りのような感覚。
その想いがある人は、アンバサダーとしての活動を通して、ゆるやかに人と人の関係性を耕していけるのだと思います。
同じ釜の飯を食う。ときには一緒に食べて、寝て、体を動かして。
そうやって関係性を育んでいきます。
一方で、信頼関係って、やっぱり簡単には築けないですよね。アンバサダーとして活動する中で、ぶつかる壁もあるんじゃないでしょうか?
そうなんです。どんなにいい関係を築きたいと思っていても、やっぱり最初からうまくいくわけではありません。
たとえば、文化や価値観の違いからくるちょっとしたすれ違いや、意図が伝わらなかったときの戸惑い。
あるいは、「自分は誰の役にも立てていないかもしれない」と感じたり、「発信しても反応がない」と落ち込んだり。
信頼関係って、やっぱり一方的な努力では築けないし、時間がかかるものなんですよね。
でも実は、そういう“うまくいかない経験”こそが、アンバサダーとして一皮むける大事なタイミングだったりします。
大事なのは、そんなときに立ち止まり、自分自身に問い直してみること。
「私はなぜこの場所に関わりたいと思ったんだろう?」
「本当はどんな関係を築きたいと思っていたんだろう?」
そうやって原点に立ち返ることで、関わりは“誰かのため”だけでなく、“自分自身の軸”を起点としたものへと深まっていきます。
そしてそのプロセスは、決して一人でやる必要はありません。
私たちは、アンバサダー同士が語り合える場や、立ち止まったときに支え合えるコミュニティを大切にしています。仲間がいることで、うまく言葉にできなかった気持ちが整理されたり、「自分だけじゃない」と思えることが、次の一歩につながっていく。そんな場の中でこそ、信頼関係は育っていくのだと思っています。
アンバサダーが社会に増えると、どんな変化が起こると思いますか?
まず、「地域との関係性を自分の人生に取り入れる人」が増えていくと思います。それはつまり、暮らしの中に“もうひとつの居場所”を持ち、多様な関係性(=マルチリレーション)を築く人が増えていくということ。
関係が多様であることは、それだけで大きな力になります。何かに挑戦したくなったとき、うまくいかないことがあったとき。視野やつながりが広がっているだけで、選べる選択肢も、支えてくれる誰かも増えていくんです。
私にとって、「ふるさとが一つ増える」というのは、人生の土台が一つ増えるような感覚。どこかに深く根を張るというより、「関われる場所がいくつかある」ことの安心感。それが、今の社会においては大事なんじゃないかと思っています。
それは地域側にとっても、すごく大きいことです。「たくさん人が来てほしい」ではなく、「お互いを育み合える人を大事にしたい」という関係が育まれるようになる。
関係の“量”ではなく“質”に重きを置けるようになることで、地域にある文化や営みも、より丁寧に、長く受け継がれていくようになるはずです。
「地域にずっと住もう」という前提でなくてもいいのですね。
それで、いいんです。
「ずっといなきゃいけない」ではなく、「その時々の自分に合った関わり方を選べる」。アンバサダーは、そんな関係のあり方を体現する存在でもあると思っています。
関わりに“出口”があることって、すごく健全なんですよね。だからこそ、お互いに無理なく、感謝し合って関係を終えることができる。そして、去ったあとも「好きなまま」でいられる。
その“好き”が残っているから、また別の形で関わり直したり、誰かに紹介したくなったりする。それが、新しい関係の種になっていくんです。
これから、どんな人にアンバサダーになってほしいと思いますか?
一番は、「誰かのことを推したい」と思える人。
そして、自分の人生に少し余白をつくりたい人。まだ出会っていない風景や価値観に触れて、自分の中の「可能性」をひらいてみたい人に、ぜひ来てほしいです。
アンバサダーって、すごく面白い役割だと思うんです。自分が直接動くというより、人と人のあいだに立って、新しいつながりや対話が生まれていく瞬間に立ち会える。
その連鎖が、気づけば社会の空気を少しずつ変えていく。そんな実感を持てるのが、この活動の魅力です。
同じ想いを持つ仲間と出会えることも、このプログラムの醍醐味のひとつ。ぜひ、一緒にその面白さを味わってみてほしいなと思っています。
人の間に立つと積み上がり、1つの動きが全体のうねりになる。
ふるさとLIFEアンバサダーになりたい方へ。3ヶ月の実践型プログラム「さとゼミ」
興味のある方は、ぜひホームページをご覧ください。
あなたの「応援したい」という想いが、誰かの未来を動かすきっかけになるかもしれません。



Hue-ish株式会社の法人活動理念
こんな問いから、Hue-ishは始まりました。
「なぜ、挑戦したいと思っても、踏み出せない人が多いんだろう?」
「どうして人とのつながりが、こんなにも減り薄く感じるんだろう?」
社会的な孤立、頼れる場所のなさ、未来に対する不安——
そうしたものは、「自立」ではなく「孤立」から生まれるものだと、私たちは考えます。
だからこそ、Hue-ishが目指すのは「ひとりで頑張る自立」ではなく、
信頼できる"つながり"を複数持つ自立。
そして、その"つながり"を一番自然に育める場所が、「地域」だと思っています。
地域の中で、人と出会い、一緒に何かをつくる。
その時間の中で、自分の中にある感性や可能性に気づく。
そんな"贅沢な創造のプロセス"が、人生の選択肢を豊かにし、
自分自身を肯定できる力にもなっていく。
Hue-ishは、そんな人を、一人でも多く育てていきたいと思っています。