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2020/09/10

災害に備えたいと思えるきっかけをつくりたい 〜被災経験を問わないフラットな語り合いの場を〜

akariが目指すもの

 akariは「おみやげ話のように広がる減災啓発のかたちづくり」の実現を目指しています。

「減災」という言葉をご存知ですか?
よく耳にするのは「防災」だと思います。

災害そのものを防ぐことを「防災」 災害の被害を減らすことを「減災」といいます。

毎日起きている自然現象が、
人がいる社会に影響を及ぼしたとき初めて自然現象は「災害」となります。
太平洋のど真ん中で起きた台風は災害ではないといったイメージです。

災害大国と呼ばれる日本。
災害の中でもakariが力を入れるのが地震に関するプロジェクトです。

どんなものが思い浮かぶでしょうか。

家族で準備する非常用持ち出し袋や、津波の被害を軽減する堤防、
建物を強くする耐震構造・・・

akariが行うのはこれらのようなハード面、
目に見えるもので備える減災ではありません。
その人自身が、備えたいと行動を起こすまでのきっかけをつくる取り組みです。

akariには3つの柱(要素)があります。

これまで防災啓発として一般的だったのは、災害経験者(語り部)から当時の話を聴く「語り継ぎ」と、将来的に起こるとされる災害を想定した防災訓練です。


語りの薄れ

1995年に起きた阪神・淡路大震災。
25年が経過した今、兵庫県では4人に1人が震災未経験者となりました。

当時、物心もついていなかった世代は親となり、
生まれていなかった世代も大人になりました。

定年後に語り部活動を始めた方たちは80歳を超えています。
当時のままを伝えるには語りが薄れてしまっていることが現状です。


語り部の語り慣れ

 東日本大震災では若者たちが語り部として当時の様子や自身の経験を語る活動をしています。

「話したい」「話す場所が欲しい」と始まった彼らの活動。

取り上げられた彼らの語りは多くのメディアを通し、
日本だけでなく海外にも広がりました。

取材や語る場を重ねるごとに、本来の「話したい」ではなく「相手はどんなことを聞きたいだろう」とニーズを考えすぎてしまう語り部の方たちがいました。

その人にしか話せない当時の音・言葉・匂い、独特の雰囲気、経験者それぞれが持つ唯一のエピソードこそ聞き手に響くもの。

しかし、相手を思いやることが、かえって本来の思いが後回しになり、
語りが定型文化してしまう例もあります。

それでも語りを後世に残そうと取り組まれる語り継ぎにも様々な課題がありました。


どうしても被災の程度を比べ合ってしまう・・・

「私は親族を亡くしていないから」
「自分は被害が小さい地域だったから」

「語り継ぎたい、でもいざそうしようとすると私が話していいのだろうかと思ってしまう」
「経験した方を目の前にすると話せない」

被災した者同士ですらも経験を比べ合い、話すことをためらったり、
それが原因でいじめが起きたり。

被災の程度や有無が前提にあると、
どうしても「経験者」「未経験者」の2者に分かれてしまう。

 被災の有無や程度を問わない語り合いの場づくりがしたい。

比べ合うことで傷つく人を減らしたい。

一方通行になってしまう「語り継ぎ」ではなく、
フラットに「語り合い」をしたい。

そこで生まれたのが「語り合いatrium」です。

1人の人とその人にルーツがある地域がセットで“拠点”となり、
そこに参加者が集う形で開催します。
(ここでの地域は地元に限りません。ここでやりたい!の思いがあればそこが地域です。)

ルールは1つ。

話したいことは惜しみなく話す、
聴きたいことはありがとうの気持ちを持って聴くこと。

直接的な過去の災害に関するデータの話はほとんどありません。

ワークショップの内容は、一見、防災や減災と関係のなさそうなものからスタートします。

関心の分野が異なる人や、「減災という言葉すら初耳だ」というような人にも自分ごとに置き換えて考えやすいような時間になるよう工夫しています。




旅のあと、思わず誰かに話したくなるようなワクワクしたおみやげ話のように。

テレビの中の“偉い人”の話よりも身近な人の「気をつけてね」が響くように、
帰る頃には、自分にとって大切な人に伝えたくなるような空間を目指しています。


「犠牲者0」を口にすることは簡単です。

でも、これまでの災害の犠牲者の中には誰かを想った死があり、
誰かを救った死もあります。

「語り合いatrium」で見たこと・聞いたこと・感じたことが記憶となって
ふとしたときに思い出し、その人自身と、その人の大切な存在が
「生きたい」と思って「生きる選択肢」を選べるきっかけでありたいと思っています。

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