「認知症ってどんな病気?」
「認知症が原因でおこる問題は?」
高齢化が進み、認知症の話題をよく耳にするようになりました。
高齢者に多い認知症について何が問題となっているか一緒に考えていきましょう。
認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」
参考 厚生労働省 認知症とは
認知症は脳の機能が衰えていくことで次第に日常生活に影響が出てきます。
生まれもった障がいではなく、「以前できたことが今はできなくなってしまった」ような状態になることです。
では、認知症になるとどんな問題が起きるのでしょうか?
いくつかの例を紹介します。
徘徊(はいかい)は自分の家がどこかわからなくなり、帰れなくなる現象。
徘徊中に警察に保護されても、名前と住所が言えない場合は、家に帰るのが困難になります。
また、深夜に徘徊すると、暗闇で認識力がさらに低くなるため、家からかなり遠くまで行ってしまうこともあります。
解決策は地域の人たちで「徘徊を見守るネットワーク」を作ったり、「GPS」を持たせておくことが効果的です。
金沢市では「認知症高齢者地域見守りネットワーク事業」という認知症の高齢者を見守るサービスを提供しています。
この事業では、認知症の家族が外に出ると、外出通知が届いたり、現在地の確認ができるサービスが受けられます。
高齢者虐待は介護者の「身体的・精神的ストレス」が主な原因で起こるもの。
一日中介護のつきっきりで身体的に疲れてしまったり、介護される人が予測不可能な行動をすることにストレスを感じてしまい、虐待へと発展する場合があります。
解決策は介護サービスを利用したり、地域包括センターなどの相談窓口で相談することです。
認知症の方は認知機能が低下しているため、悪質商法にだまされやすく、被害にあわれる方が多くなります。
解決策は手口の情報を家族で話したり、周囲の人が変化に気づける環境を作ることです。
認知症の方は自分で「おかしい」と気づくことが難しいので、家族や近所の人の協力が欠かせませんね。
「ゴミ屋敷」と「認知症」どんな関係があるの?と思われる方も多いのではないでしょうか。
実は、ゴミ出しの場所がわからなくなったことがきっかけでゴミを家にため込むようになった事例があります。
認知症により、ゴミ出しの場所がわからなくなったことが恥ずかしく、周囲の人に言えないまま症状が進行してしまい、その結果「ゴミ屋敷」が完成してしまったのです。
ゴミ屋敷が完成するまでに、長い間社会から孤立している場合が多いので、行政や周りの人が手を差し伸べても、拒むケースが多くなります。
このような状態を「セルフネグレクト」といいます。
解決策は「セルフネグレクト」に陥る前に、社会からの孤立をさせないこと。
セルフネグレクトは認知症だけでなく、生活の変化(例えば、親族の死亡)なども原因となります。
一人で不安を抱えないようにするために相談できる場所を作ることが効果的とされています。
今回は認知症が引き起こす問題についてお伝えしました。
認知症は進行を遅らせることはできますが、完治することはむずかしい病気です。
認知症の家族は長期間認知症の家族と向き合って行かなければならなく、どうしても負担が増えます。
そうすると、「認知症家族のケア」も行うことが必要になりますね。
実際に、公益社団法人認知症の人と家族の会では、認知症とどう向き合っていけばよいか、悩みを話したり、聞いたりする場が提供されています。
認知症になった人だけでなく、その家族の負担を減らす取り組みをされることで新たな家庭内でのトラブルの発生を防ぐことができるのではないでしょうか?
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