「紛争や内戦は何が原因で起こるの?」
「争いを解決するために何をするの?」
「紛争や内戦が起こるとどんな悪影響が起こるの?」
このような疑問にお答えするため、
紛争、内戦が起こる原因や争いを解決するための取り組みについてお話します。
まず最初に紛争と内戦の呼び方の違いについてです。
争い全般を「紛争」といい、その中でも国内での争いのことを「内戦」といいます。
次に、争いが起きる原因を紹介していきます。
鉱物が出る国では資源を巡って争われます。
資源が原因で紛争が起きることから鉱物のことを「紛争鉱物」と言います。
鉱物がでる地域では、武力勢力が資源を独占するために一般住民に暴行したり拉致したり、犯罪行為が行われています。
そのため、多くの企業が紛争鉱物の使用を禁止していることを宣言しています。
民族同士で争うことを「民族紛争」といいます。
異なる民族同士は宗教や歴史が違うため、考えの違いが生まれる場合があります。
その違いから争いに発展することがあります。
また、同じ民族の中で対立し合う場合も民族紛争といいます。
宗教の考え方の違いから起きる争いを「宗教紛争」といいます。
民族紛争の中でもお話した内容と似ているのですが、これも価値観の違いによって衝突が起こり、争いが起きるパターンです。
そのため、民族紛争や人種差別などの問題も重なって争いに発展します。
国境が明確でなかったり、国境線の主張が異なるときに起こる争いを「国境紛争」といいます。
途上国では国境がはっきりしていないことが多いため、国境紛争がよく見られます。
参考 コトバンク 国境紛争
独裁政権が続く国では、住民が政治に不満を持ち、
反対運動を行うことから内戦へと発展する場合があります。
例えば、シリア内戦があります。
シリア内戦については後ほど本記事で紹介しております。
詳細はそちらをご覧下さい。
参考 外務省 わかる!国際情勢
ちなみに、「紛争」と似た言葉に「戦争」があります。
紛争は争い事全般を指す言葉であり、戦争は国家間の軍事力を用いた争いを意味します。
内戦と紛争の原因は一つではなく複数の原因があることがわかりましたね。
では、紛争や内戦が引き起こす影響はどのようなものでしょう?
次はその影響について説明していきます。
争いが街で始まると元から住んでいた人たちは安全を求めて避難しなければなりません。
こうして難民になり、行き場を失います。
元から住んでいた土地は破壊されていて戻ることはできません。
他国に入国しようとしますが、簡単に難民は入国することができません。
難民を受け入れる国の住民は受け入れを反対する声もあり、難民の受け入れがなかなか進まないのです。
その結果、違法に入国する難民が増えたり、不法に入国した人は強制送還される場合もあります。
こうして難民は居場所を失って行くのです。
紛争地域の子どもは教育を受けることが難しい現状があります。
教育が受けられない理由は、荒れ果てた土地で授業する教育環境が整っていないだけでなく、拉致されたり、虐待を受ける子どもが多いからです。
中でも、南スーダンでは72%の子どもは初等教育を受けられていません。女子は76%もの子どもが学校に通えていないのです。
紛争をするときに戦力として子どもが利用されます。
兵士として戦場で戦う子どものことを「子ども兵」と言います。
子どもが兵士になる理由は大きく2つです。
また、アルコールや麻薬で洗脳し、家族や友人を殺させて人を殺すことへの抵抗感を無くさせる大人もいます。
子ども兵は代わりがきく「モノ」として扱われ、地雷原の先頭を歩かされたり、女性の場合には性的虐待を受けることもあります。
争いによって食料を育てる土地が荒れてしまい、作物が育たない環境が生まれます。
その土地ではうまく作物が育ちません。
さらに、紛争地域では食料が手に入りにくく、自分たちで食料を生み出せないと飢餓が起こります。
国連も飢餓人口が増えた主な理由は紛争の拡大だと述べています。
紛争が起こると人が生きていくのに必要な環境を失ってしまうのですね。
実際に今も進行中であるシリア内戦を例に取り上げて紛争の経過をみていきましょう。
シリア内戦を簡単に言えば、
このような流れです。
最初は規模の小さい争いだったにも関わらず、ここまで大きくなるのですね。
過激派グループと呼ばれるISなどは紛争を使って力を伸ばそうとしていました。
それに巻き込まれる形でロシアやアメリカが紛争に参加し、反政府と政権派のそれぞれのバックについて争いが続いてしまっているのですね。
ISなどの過激派グループによる行為が目立ちましたが、実は政府軍や反政府軍も残虐行為をしています。
政府軍は国民に対して化学兵器を使用したと言われています。
また反政府軍も殺人や拷問を行なっていたことが国連調査委員会によって報告されています。
難民はトルコ、レバノン、ヨルダン、イラク、エジプトなどに流れています。
全員が公式の難民キャンプには入れません。
非公式の難民キャンプで暮らしている人はわずかな現金収入で食料、家賃などを払って生活しています。
医療や教育を十分に受けることが難しく、十分に受けられない環境にさらされています。
ここまでで、紛争がどれだけ破壊力があるおそろしいものであるかがわかりましたね。
紛争を解決するためにはどうしたらよいのでしょうか?
次は紛争を解決するための活動についてみていこうと思います。
争いが紛争へと拡大するのを防ぎ、かつ紛争の再発を防ぐための主要な戦略が予防外交と予防軍縮
予防外交とは紛争解決するために仲介、調停または交渉をすることです。
紛争を大きくしないために、世界の政治や発展を見守り、安全保障理事会などが予防活動をしています。
紛争の可能性のある地域で小型武器の数を削減する
予防軍縮は戦闘員を解放したり、武器を回収したり、破棄したりします。
武器を減らすことは紛争を防ぎ、人々が傷つくことから守ることができますね。
紛争の解決に責任をもっているのが国際司法裁判所です。
国家が条約の解釈や国境についての問題を裁判所に訴え、裁判所が判決を下す流れになります。
国際司法裁判所は国同士が正常な関係に戻れるように公正な判断をします。
そのため、裁判所の判決は権威のある判断とされています。
長期間に渡る紛争の影響で学校に通えなかった子供たちに教育をしています。
また、紛争中に経験したトラウマをケアするために個別でカウンセリングもしています。
避難先の国で順応していけるように家に訪問し、個別に悩みを聞く活動もあります。
参考 認定NPO法人 日本紛争予防センター シリア・イラク難民への情報提供・個別支援事業
紛争と言っても原因はさまざまで、
複数の問題がからみ合っていることがシリア内戦の例からわかりました。
一度紛争が起きると多くの人が巻き込まれ、居場所を失うのですね。
日本では、現在紛争はありませんが、
紛争はどこでも起こり得ることであり、決して他人事ではありません。
世界のことを知るためにも、紛争問題に関心を持ってみませんか?
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