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より社会貢献性の高い仕事に就きたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
そもそも「社会貢献」とは何か?という議論もありますが、このコラムでは、
「より直接的に社会課題の解決を目指す共感性の高いプロジェクトに関われる」
「『社会的弱者』と言われるような人々の課題解決に携わる」
というような仕事が、一般的に社会貢献性の高い仕事であるという前提で、
具体的にどのような仕事、選択肢があり、それぞれ今後取るべきアクションとは何なのか、を7つにまとめてみました。
「社会貢献を仕事に」と聞いて始めに思い浮かぶのは、NPOではないでしょうか。
基本的にNPOといえば、NPO法人(特定非営利活動法人)という法人格の団体のことを指しますが、広義では、社団、財団法人や宗教法人、学校法人、労働組合、任意団体などを含めることになります。
有名な「あしなが育英会」も、実は法人格を取らず、あえて任意団体として活動されています。
よって、NPO法人、という法人格にとらわれず、関心のある社会課題に取り組んでいる法人を広く探してみるのが良いでしょう。
先程も紹介したようにNPOと言ってもかなり多様なので一概には言えませんが、
NPOで働くために必要な素養として良く挙げられるのは、関心のある社会課題を解決したいという想いの強さです。
これは、一般的に給与水準が低いとされるNPOで働き続けるモチベーションはやはりやりがいである、という文脈で良く語られるもので、重要な条件の一つです。
ただし、あくまで一般論であり、必ずしもすべてのNPOの給与水準が低いというわけではないということは認識すべきかと思います。
また、8割ほどのNPOが職員数20名以下の小規模な組織であるため(2015年 内閣府 NPO法人実態調査)、自走できるような人材であることが求められることも多いでしょう。
NPOで働くために取るべきアクションとして、手っ取り早いのは、WebでNPO特化の求人サイトから探すという方法でしょう。
手前味噌ながら、このコラムが書かれているactivoにもNPOや社会的企業の求人情報を掲載しております。
他にも、「NPO 求人」などでGoogle検索すると、NPO特化のサイトがいくつか見つかります。
ただし、ほとんどのサイトで求人数がそこまで多くはありません。
そもそもNPOの採用手段として最も多いのは、知人、職員/会員を通じた縁故採用です。(2010年 東京しごと財団 第2回 NPO法人と人材のマッチングに関する調査)
求人サイトには広告を出さず、自社のHPのみに情報を出すという法人もあります。
運良く求人サイトで自分に合った募集に出逢える可能性もありますが、そうでない場合は、理念に強く共感できるNPOを探してみることから始めてみるのが良いでしょう。
Webでの情報収集だけでなく、専門家の方に相談するというのも良い方法です。
代表例としては、NPOサポートセンターによるNPOキャリアカレッジが挙げられます。
NPOで働くということに関して体系的に学んだり、準備ができる機会が提供されています。
公益法人で働くことについて悩んでいるという方の場合も、各自治体にあるNPO中間支援組織の相談窓口を訪れてみることもできます。
また、NPOはインターンシップ採用も盛んです。学生の場合は、早いうちからインターンシップとして興味のあるNPOとの繋がりを作っておくと良いでしょう。
ビジネスパーソンの中でも6割ほどは「社会的企業」や「ソーシャルビジネス」という言葉を認知していると言われています。(2015年 メディケア生命保険株式会社ソーシャルビジネス・社会貢献活動に関するビジネスパーソンの意識調査)
ビジネスを通して社会貢献!というフレーズに魅力を感じる方は多いのではないでしょうか。
「社会的企業」というと広義では、社会貢献性の高い事業を行っている株式会社だけではく、事業型のNPO法人も含まれるかと思います。
手っ取り早い方法としては、wantedlyで探すのがオススメです。IT系求人がメインですが、魅力的、共感性の高い事業を行っているスタートアップによる募集も多く掲載されています。
または、先程も紹介したNPO特化の求人サイトから事業型のNPOを探すのも手です。
CSRは企業の社会的責任のことです。
企業が無償で寄付をしたり、環境保全をしているようなイメージを持っている方が多いかも知れませんが、様々な定義や段階があります。
ざっくりと、「自社の事業が社会課題を助長するようなことが無いように」という段階、次に「売上だけじゃなくて、社会への貢献も考えよう、本業とは別で社会的なことをやろう」という段階、そして、「自社の強みを活かして、事業を通して社会課題を解決しよう」という段階に分けられるかと思います。
CSV(共通価値の創造)という、企業価値と社会価値の重なり合っている部分を作っていこうというような概念もあり、その領域に携われるのがCSR担当者といえるでしょう。
CSR担当者になる、というのは比較的難易度が高いと言えます。「NPOに就職する」などとは違い、あくまで部署、担当であるため、人事異動という自分ではコントロールできない領域が絡んでいる為です。
また、仮にCSR担当者になれたとして、いきなり自社の強みを活かして社会貢献のために予算が使えるかもわかりません。
すべての国内企業でそのようにうまくCSRを行えているとはまだ言えない状況でしょう。
CSRは高度なマーケティングとも言えますし、自社の社員を含む、多くのステークホルダーとの関係も考慮しなければなりません。
そのように難易度の高い仕事である分、やりがいも非常に大きいことが想像できます。
かなり抽象的になってしまいましたが、さらにCSRに関する詳細を知りたい方には、CSRに特化したブログ、CSRのその先へがオススメです。
ソーシャルアントレプレナーシップ(社会起業家精神)に関心のある方は、組織を立ち上げるのも一つの手です。
まずは週末プロジェクトとしてスタートさせ、軌道に乗り出した段階でそのプロジェクトを本業にするようなことも可能かと思います。
紹介するまでもないかと思いますが、起業家などのリーダー育成なら、NPO法人ETIC.が有名でしょう。
実践型のインターンシップや、起業家向けの支援プログラムを多数展開されています。
プロボノとは、ビジネスパーソンがスキルを活かして非営利プロジェクトにボランティアとして参画することを指します。
「公共善のために」を意味する「Pro Bono Publico」というラテン語の略で、新しい社会貢献方法として注目を浴びています。
単純に言ってしまうと、弁護士がゴミ拾いをするよりも、NPOの法律相談に乗った方がいいですね、という話なのですが、プロボノで注目されているのは、法律相談に乗る側の、プロボノワーカーにとっても魅力的であるという点です。
プロボノを推進している特定非営利活動法人サービスグラントのアンケート結果によると、プロボノワーカーに対する「サービスグラントに参加したことで、どのような変化がありましたか?」という質問に対して、
・自身の視野が広がり、人間的成長に繋がった(79%)
・社会問題やNPOに対する見方や考え方が変わった(64%)
・私生活での、交友関係が広がった(41%)
などの回答が集まっており、参加側のプロボノワーカーにも大きなメリットがあることが分かります。
サービスグラントだけでなく、プロボノのようにパラレルキャリアを推進するNPOとして、NPO法人二枚目の名刺も有名です。
先程のプロボノとも近いのですが、こちらは、「本業とは別でボランティア活動として非営利組織に参加する」という意味ではなく、「副業可能な企業やプロジェクトに複数関わる」という提案になります。
2015年末、リクルートホールディングスが「雇用形態にかかわらず全ての従業員を対象とした、上限日数のないリモートワークを本格導入」するとして話題になりました。また、リクルートグループでは以前より副業の推奨が行われていました。
リクルート以外でも副業やリモートワークを推奨する組織が増えていく中、どちらが本業というわけでもなく、同時に2つの組織に属し、どちらかで社会貢献事業にコミットするという働き方も不可能ではなくなっています。
もちろん、まだまだそれができる企業は多くないことや、与えられた業務をこなしていることが前提にはなっていたりと、誰にでもすぐに実践できる方法ではありませんが、今後このような働き方も増えていくのではないでしょうか。
「働く」というテーマからは少し逸れてしまいますが、寄付やボランティア活動であれば、今の職場を離れずにNPOの雰囲気を知ることができたり、職場の方のリアルな声を聞くことができます。
通常の株式会社でも同様ですが、事前に職場の雰囲気を知ったり、事業に触れた後に、その場所で働くかどうかを決断した方がミスマッチは少なくなります。非営利活動をしている組織であれば、ボランティアや寄付という形で事前に関わることができるので、いきなり仕事をやめてNPOに転職!というのはイメージが沸かない方は、とにかく何かしら活動に参加してみるのが懸命でしょう。
以上、7つの選択肢をご紹介しました。
今日本では社会貢献をしたいと考える人が約7割存在している(2013 内閣府調査)という調査結果もあり、
「就業観に関する調査」(2012年 リクルートワークス研究所)においても、特に若者の社会貢献意識が比較的高いという結果が出ています。
2011年3月11日の東日本大震災による価値観の変化なのか、
それとも、現代社会における不確かさや虚無感から湧き上がる気持ちなのかも知れません。
いずれにせよ、実際に上記のような行動を取る前に、そもそも「社会貢献」とは何か?自分に何ができて、その中で何がしたいのか?というような問いに対して向き合う必要はあるかと思います。
おそらく正解はありませんが、自分なりの答えを持った上で行動することで、地に足の着いた状態で、社会貢献を仕事にすることができるのではないでしょうか。